中国の伝統的な祝日で敬老の日に当たる重陽節(旧暦9月9日、今年は10月11日)の当日、高齢者に無料診療を行う天津医科大学朱憲彝(しゅ・けんい)記念医院の医療従事者。(天津=新華社記者/李然)
【新華社天津10月25日】中国天津市でこのほど、2024「天津国際銀髪(シルバー)経済博覧会」が開かれ、科学技術の力を結集した高齢者向け製品や科学技術の成果が次々と披露された。関心を持つ多くの高齢者が訪れた中で、特に注目を集めたのが医療・保健分野だった。
電子商取引(EC)大手、京東集団(JDドットコム)傘下で医薬品のネット通販などを手がける京東健康(JDヘルス)と、調査会社の艾瑞諮詢集団(アイリサーチ)が共同で発表した「中国シルバー層健康養老消費報告」によると、ネット通販で医療・健康関連商品を購入する高齢者の割合は増加傾向にあり、高齢者の71・2%がオンラインでの購入経験がある。彼らが抱えている健康上の問題は、高脂血症、高血圧、高血糖の「三高」や、心血管疾患などの慢性疾患が中心となっている。
中国の伝統的な祝日で敬老の日に当たる重陽節(旧暦9月9日、今年は10月11日)の当日、屋外で遊び、記念写真を撮る高齢者。(天津=新華社記者/李然)
報告書は、高齢者の健康に関する要求はもはや病気の治療にとどまらず、「受動的な治療」から「積極的なモニタリング・予防」へと変化しつつあり、「免疫力を高める」「病気を予防する」「老化を遅らせる」などのニーズも高いと指摘している。統計によると、中国の高齢者は1人平均2・5カテゴリーの医療機器を購入しており、管理測定機器や症状緩和用機器の普及率が高い。
スマートフォンや通信ネットワークの普及に伴い、中国の高齢者も「指先族」になりつつあり、インターネットで健康づくりに関する知識を得たり、健康講座を購入したりすることも一種の「流行」となっている。
天津市の西青区第1養老院で、お年寄りの衣服のボタンを留める介護職員。(8月1日撮影、天津=新華社記者/李然)
健康維持分野の追求により、中国では高齢者の身体状況が確実に向上している。中国老齢協会はこのほど、第5次中国都市・農村高齢者生活状況サンプル調査のデータを発表した。それによると、高齢者の健康状態の自己評価で「非常に良い」か「良い」を選んだ人の割合は合計で42・7%と、2010年に比べ18・8ポイントの大幅上昇となった。各種医療保障を受けている高齢者の割合は98・5%に達した。
国家統計局のデータによると、中国の満60歳以上の人口は3億人に迫っており、今世紀中頃には5億人前後に達する見込みという。生活の質の着実な向上に伴い、高齢者層の健康意識は著しく高まっており、医薬・保健などの分野で消費の盛り上がりが続くとみられる。(記者/郭方達)