20日、段位認定試験を受ける森久保美智子さん(前)。(鄭州=新華社記者/李嘉南)
【新華社鄭州10月24日】中国河南省鄭州市でこのほど第13回鄭州国際少林武術節(大会)が開催された。兵庫県神戸市から出場した森久保美智子さん(82)は、流れるように優美な太極拳の演技を披露。スクリーンに7・03点の高得点が表示されると、子どものように手をたたいて喜んだ。
「結果にすごく満足している。ずっと頑張ってきたかいがあった」と話す森久保さんは太極拳歴12年。今回初めて太極拳発祥の地の同省を訪れた。
20日、段位認定試験を受ける森久保美智子さん(前)。(鄭州=新華社記者/李嘉南)
太極拳は2020年12月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。ユネスコは、太極拳が17世紀半ばに同省焦作市温県陳家溝村で創始されて以来、代々受け継がれ、陳氏太極拳を基礎として多くの流派が発展してきたことを評価した。
「太極拳を始めたのは2012年。公園を散歩していると太極拳をしている人がいて、それが現在の師匠、李瑩(り・えい)先生でした。健康に良さそうだと思い習い始めました」と話す森久保さんは、80歳を超えてなお足取りも軽快で、かくしゃくとしている。
森久保さんは、以前は脚の調子が良くなかったが、太極拳を始めてから痛みが取れ、体の調子も全体的に良くなったと話す。今も毎朝6時半に自転車で公園に行き、仲間と一緒に稽古に励み、週に2回は李先生のクラブにも通う。
20日、段位認定試験を受ける、太極拳教師の李瑩(り・えい)先生。(鄭州=新華社記者/李嘉南)
師匠の李瑩さん(67)は中国東北地方出身。大学時代に少し太極拳を習ったことはあったが、武術を専門的には学んだわけではない。家庭の事情で30年前に日本に移住してからは、仕事が多忙でいつも肩凝りに悩まされていた。
李瑩さんは「このままでは体に良くないと、太極拳で体を鍛えられることを思い出した。一人、公園で練習を始めたが、だんだんと地元の人たちも加わるようになった。今ではクラブのメンバーは100人以上になった」と紹介。今回、生徒20人以上を連れて鄭州の大会に参加した。
森久保さんの大会での演技は素晴らしく、審査を経て太極拳初段に昇段。境外(外国と中国香港・マカオ・台湾地区)部門でも銅メダルを獲得した。
20日、試合前に仲間と記念撮影する森久保美智子さん(中央)。(鄭州=新華社記者/李嘉南)
「少林寺にも行ったが、スケールの大きさに驚いた。北京では太極拳の大家に会い、たくさんのことを学んだ」と森久保さんは興奮した様子で中国での体験を話した。
森久保さんは「太極拳は誰もができる本当に良い運動。すでに一緒に太極拳を始めている友達もいる。太極拳を通して中国文化を理解し、日中文化交流の懸け橋になりたい」と語った。(記者/劉金輝、姜亮)