江蘇省の港で南アフリカへの出荷を待つ機械設備。(南京=新華社配信)
【新華社南京10月23日】主要新興国で構成するBRICSの協力枠組みはここ数年、一段と結束が強まり、影響力も高まっている。多くの中国企業が商機を捉え、他のBRICS諸国との経済・貿易協力強化を加速させており、数々の優れた中国製品がBRICS市場で「ファン」を魅了し続けている。
統計によると、今年1~9月の中国と他のBRICS諸国との貿易額は前年同期比5・1%増の4兆6200億元(1元=約21円)に上った。加盟国の間ではそれぞれが中間財に持つ強みを生かし、鉄鋼や化学工業、繊維などの基礎産業分野で相互補完を実現した。1~9月の中国からの中間財輸出は、鋼材が8・6%増、繊維原料が13・4%増となった。整った製造業システムと技術的優位性により、1~9月の中国からの集積回路(IC)、フラットパネルディスプレー(FPD)モジュール、航空機部品などの輸出はいずれも2桁増となった。
江蘇省南京税関の統計によると、今年1~8月の同省と他のBRICS諸国との貿易額は前年同期比9・7%増の4172億3千万元に上った。
同省の化学メーカー、江蘇泰豊化工は、染料のインディゴをブラジルに輸出している。同社の貿易担当者、李悦(り・えつ)氏によると、BRICS協力枠組みが強化される中、同社がブラジルとの協力交流を深め、今年1~8月のブラジル向け輸出額は6千万元に上った。
中国製の建設機械・設備はBRICS諸国のインフラプロジェクト現場で日常的に見ることができる。江蘇省の大手建設機械メーカー、徐工集団工程機械(XCMG)のブラジル製造拠点は、同社が100%出資した初の海外製造拠点で、掘削機械や土砂運搬機械、道路機械など各種建設機械の年間生産能力が1万台近くに上る。
江蘇省の大手建設機械メーカー、徐工集団工程機械(XCMG)ブラジル製造拠点の稼働開始10周年記念式典の様子。(南京=新華社配信)
世界の家電市場は急速に回復しており、中でもBRICS諸国では携帯電話やタブレットPCなどの家電需要が引き続き増加している。同じく江蘇省にある電子部品メーカー、蘇州維信電子のスマート製造現場では現在、他のBRICS諸国向け電子部品の注文をさばくため、複数の全自動生産ラインをフル稼働させている。同社の物流部門を担当する孫暁忠(そん・ぎょうちゅう)氏は「今年1~8月の他のBRICS諸国向け製品の輸出額は、前年同期の約4倍となる5585万ドル(1ドル=約152円)だった」と語った。
新エネルギー製品もBRICS市場で需要が増えている。中国の車載電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)の呉凱(ご・がい)主任研究員も先月開かれた「2024BRICS新産業革命パートナーシップフォーラム」で、同社がフランスのエネルギー大手トタルエナジーズと協力して、アフリカ最大となるエネルギー貯蔵発電所プロジェクトを建設していると明らかにした。
同省にある河海大学商学院の田沢(でん・たく)教授は次のように述べた。中国企業と他のBRICS諸国が海外投資や生産協力を行うことで、より多くの良質な中国製品が海外市場を豊かにし、国内の対外貿易拡大や製造業の構造転換・高度化にもつながる。BRICS協力は世界の多極化を促進する上で重要な力となる。協力を強化することは単一経済への依存を引き下げ、世界経済システムの強靭(きょうじん)性と安定性をさらに高めることにつながる。(記者/何磊静)