サントメ・プリンシペの国家獣医実験室で動物伝染病のモニタリング技術を指導する中国の専門家、段振華(だん・しんか)氏(奥左)。(6月21日撮影、サントメ=新華社配信)
【新華社サントメ10月20日】アフリカ西部のギニア湾にある島国、サントメ・プリンシペで、中国の専門家による農業支援が豊かな実を結びつつある。
ジャマイカ・マルティンスさん(32)は雨季を控えた10月、自分の畑でチンゲンサイを初めて収穫した。栽培を指導した中国のサントメ・プリンシペ支援チームの専門家たちが駆けつけ、ジャマイカさんがつくったチンゲンサイの最初のお客となった。
チンゲンサイは、中国の専門家チームがサントメ・プリンシペで普及に取り組む野菜の一つ。試験や比較を通し、チンゲンサイのほかナスやトウガラシなど計14種を選んで栽培を支援し、野菜の種類が少なく価格が高いという地元の問題の解決を図っている。
8日、サントメ・プリンシペ家禽繁殖センターでひよこの人工ふ化技術を指導する中国の専門家(右)。(サントメ=新華社配信)
サントメ・プリンシペは、国連が発表した世界の後発開発途上国の一つ。過度の降雨と日照不足が穀物や野菜の栽培の足かせになってきた。国連食糧農業機関(FAO)のデータによると、同国は食料の半分以上を輸入に頼っており、人口の半分以上が中程度または深刻な食料不安に直面している。
ジャマイカさんの畑は、サントメ島中部ノバモカ村の丘陵地にある。一家総出で開墾した畑は千平方メートル余りと「猫の額」ほどしかないが、村で最も平坦な耕地となっている。畑の半分ではピーマンを栽培する。地元では比較的高価な野菜の一つで、1キロ当たり約1500円で取引される。
「中国の専門家からいかに丈夫な苗を育ててピーマンの生産量を増やすか、病害を減らすかを教わった。雑草を堆肥にして土壌を改良し、肥料の使用を減らす方法も学んだ」とジャマイカさん。今ではピーマンの収量はほぼ倍になった。中国の専門家のすすめでズッキーニの栽培も開始。地元の市場で1キロ当たり約1300円で売れ、一家の収入は大幅に増えたという。
中国は2017年から、サントメ・プリンシペの農畜産業技術支援プロジェクトを始め、中国の専門家と地元政府の農業協力を展開してきた。中国農業農村部国際交流サービスセンターはこれまで4回にわたり計32人の専門家を同国に常駐させ、野菜、トウモロコシ、畜産、獣医、農村エネルギー、農産物加工などの分野で技術指導や研修を実施、農業による貧困削減を進め、サントメ・プリンシペにおける農業の持続可能な発展を支援している。
サントメ・プリンシペのメゾシ県で野菜農家の耕地管理技術の改善を指導する中国の専門家、彭傑(ほう・けつ)氏(右)。(1月25日撮影、サントメ=新華社配信)
7年の取り組みを通じ、中国チームは同国に、畜産・獣医モデル拠点、高収量作物栽培モデル拠点、家禽繁殖センターモデル拠点、農業による貧困削減のモデル村2カ所(ノバモカ村とカルデラス村)を構築した。支援プロジェクトの開始以来、中国の専門家が支援した農家の収入は増え続け、その成果はサントメ・プリンシペで広く認められている。