北京市石景山区にある新首鋼ハイエンド産業総合サービス区(首鋼園)を散策する人々。(10月3日撮影、北京=新華社記者/張晨霖)
【新華社北京10月17日】中国の各地ではこのところ、スポーツイベントが盛んに開催され、人々の参加意欲が強まり、スポーツの観戦や参加を目的とした地域の訪問や、地域資源とスポーツを掛け合わせた観光を楽しむ「スポーツツーリズム」の人気が高まっている。
今年の国慶節連休(1~7日)前後には、卓球の国際大会、WTT中国スマッシュ、テニスの中国オープンや上海マスターズなど、複数の競技大会が各地で集中的に開催され、スポーツが再び消費の焦点となった。質の高い試合を観戦したいという幅広い人々のニーズを満たすだけでなく、連休の過ごし方に新たな行き先を提供し、観光活動における重要な選択肢となった。
北京市石景山区の新首鋼ハイエンド産業総合サービス区(首鋼園)にあるスマッシュパークのインタラクティブアミューズメントエリアで卓球を楽しむ人々。(9月28日撮影、北京=新華社記者/肖芸九)
データによると、北京市石景山区にある新首鋼ハイエンド産業総合サービス区(首鋼園)で開催されたWTT中国スマッシュのチケット売上高は約6千万元(1元=約21円)に迫り、国慶節連休中には毎日約7万人が来場した。園内にあるスマッシュパーク(大満貫公園)も人気の観光スポットとなり、豊富なアクティビティーが、老朽化した工場を改修した独特な工業的味わいと相まって、来場者に印象的な公園遊覧体験を提供している。
4日、北京市石景山区の新首鋼ハイエンド産業総合サービス区(首鋼園)にあるスマッシュパークで行われた選手のファンミーティング。(北京=新華社記者/宋彦樺)
山西省太原市から子ども連れで訪れた黄(こう)さんは、子どもが人気スポット首鋼園の工場エリア跡ならではの雰囲気を楽しみ、自分もお気に入りの選手や試合を見られるので、一石二鳥だったとし、「スポーツ観戦と観光の組み合わせは、多様化する旅行ニーズに応え、旅程を充実させ、旅の楽しみを増やしてくれると思う。またこうした機会があれば、子どもと一緒に参加したい」と語った。
北京市の国家テニスセンターで記念撮影する人々。(10月1日撮影、北京=新華社記者/白雪飛)
一方で、大衆スポーツイベントも人気を集めている。国慶節連休中、貴州省の黔東南(けんとうなん)ミャオ族トン族自治州を発祥地とする農村バスケットボール大会(村BA)と農村アマチュアサッカーリーグ「村超」、同省黔南プイ族ミャオ族自治州を発祥地とする農村競馬リーグ「村馬」がソーシャルメディアでトレンド入りし、観光消費の焦点となった。同省榕江県で開催された第1回「一帯一路」および貴州・粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア)「村超」サッカー親善試合には、省内外から多くの観光客が訪れた。スタジアムはサッカーと歌や踊りで熱気に包まれ、スタジアム外のナイトマーケットも大いに盛り上がった。
貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州榕江県の「村超」サッカー場で試合を観戦する人々。(9月28日撮影、榕江=新華社記者/陶亮)
統計によると、「村超」が開催された榕江県が1~7日に受け入れた観光客は前年同期比約24・8%増の延べ49万8900人、観光収入は全体で22・0%増の6億200万元となった。同じ時期、同省台江県の台盤村で開催された2024年「村BA」全国チャンピオンシップ決勝戦や、三都シュイ族自治県で開催された24年貴州「村馬」三都シュイ族端節全国競馬招待試合も多くの観光客を集めた。
貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州榕江県の「村超」サッカー場で歌を披露する榕江県のトン族大歌チーム。(9月28日撮影、榕江=新華社記者/陶亮)
「スポーツイベントに合わせた旅行」を好む観光客はこのところますます増えている。多くの都市や農村には豊かな文化的蓄積や美しい自然景観があり、スポーツイベントはまさに地元の文化や観光の活力を刺激する契機となるかもしれない。中国海洋大学管理学院観光開発・計画教育研究室の王新越(おう・しんえつ)主任は「観戦に合わせた旅行」について、都市観光業の発展を促進するスポーツイベントの役割を反映していると指摘。「試合観戦の魂は臨場感にあり、臨場感はスポーツを愛し、スポーツに注目する大衆によって作られる。全面的に健康に関心を持ち、スポーツと運動を愛する社会の風潮を育んでこそ、スポーツイベント旅行はより持続可能なものになる」と語った。(記者/楊珏)