【新華社デュースブルク10月17日】ドイツ・デュースブルク港の運営会社、デュースバーガー・ハーフェンのマルクス・バンゲン最高経営責任者(CEO)はこのほど、新華社の取材に応え、複雑な地政学的環境に直面する中、中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列」はグローバル産業チェーン・サプライチェーン(供給網)の安定を守る上でますます重要な役割を果たすようになっているとの見解を示した。
2011年3月、「中欧班列」第1号がドイツ・デュースブルクに向けて重慶市を出発した。安定運行を維持したこの10年余りで、「中欧班列」の運行本数は累計9万本を超え、欧州25カ国の224都市に通じている。
デュースバーガー・ハーフェンのマルクス・バンゲンCEO。(9月24日撮影、デュースブルク=新華社記者/孟鼎博)
バンゲン氏は運行開始当初、多くの人が欧州と中国を結ぶ鉄道の開業は突拍子も無いアイデアだと考えていたと振り返った。今では航空輸送と海上輸送を補う存在として、「中欧班列」は中国内陸部と欧州の重要拠点との間に緊密なつながりを築き、アジア・欧州間国際輸送の新たな枠組みを作ったとし、「中欧班列」は従来の交通輸送方式に取って代わっただけでなく、全く新しい市場を開拓し、かつて不可能だった経済・貿易交流を可能にしたと評価した。
同氏は「地政学的な環境が複雑さを増す中、『中欧班列』は多くの外部要因の影響を最小限にとどめ、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの安定を守る重要な後ろ盾になる」と語り、「中欧班列」は企業と国民の信頼を得るだけでなく、欧州とアジア間の貨物貿易の円滑化を促す上で、鉄道輸送が信頼できる選択肢であることも証明していると強調した。
「中欧班列」はここ数年、急速な発展を遂げている。重慶発の「中欧班列」はこのほど、カスピ海を横断し、欧州の内陸部に通じる路線が双方向の全線開通を実現した。うち重慶とデュースブルクを結ぶ南ルートの新路線の総延長は1万1千キロを超え、カスピ海をまたぐ国際輸送回廊を経由し、海上輸送と鉄道輸送による複合一貫輸送の発展を一層推進している。こうした複雑で効率的な輸送ルートは「中欧班列」の信頼性と発展の強靭(きょうじん)性の高さを示すだけでなく、国内外の顧客により柔軟で多元的なの物流の選択肢も提供している。同路線の往路・復路の常時運行実現に伴い、南ルートを走る現行の列車の集荷能力が強まり、「中欧班列」の輸送効率が向上し、サービス対象エリアもさらに拡大するとみられる。
地政学的対立がグローバルサプライチェーンに打撃を与える中、「中欧班列」南ルートの持続的な開拓は顧客のニーズに応え、地政学的な要因による物流への影響を相殺するだけでなく、旺盛な市場需要と成長機会もはらんでいる。
同氏は「中欧班列」の現地経済への影響にも言及し、沿線の重要な拠点として、デュースブルクは知名度が高まり、投資や事業を行う中国企業が増え続けていると明かした。物流業は同市の最も重要な基幹産業に成長し、地元に多くの雇用を創出し、企業や住民に大きな利益をもたらしているとの認識を示した。
デュースバーガー・ハーフェンは中国鉄道大手の中国国家鉄路集団、コンテナ鉄道輸送大手の中鉄集装箱運輸と良好で緊密な協力関係を維持しているとし、引き続き中国側の協力パートナーと手を携え、欧州・アジア間物流ルートの発展の好機を探り、潜在的な市場を共同で開拓していくことへの期待を示した。