6日、四川省自貢市の宜昆河湿地公園で市民を対象に開かれたバードウォッチング体験イベント。(成都=新華社配信)
【新華社成都10月14日】中国では今、ますます多くの若者がバードウオッチングに関心を持つようになり、結束を高めている。中国の鳥類保護にとっても、バードウオッチング愛好家は欠かせない存在になっている。
中国のバードウオッチング愛好家に2022年、貴重な資料がもたらされた。日本の鳥類画家の氏原巨雄、道昭氏父子による「日本のカモ識別図鑑」が中国で出版されたのだ。四川省自貢市出身の青年、李一凡(り・いつはん)さんは図鑑の翻訳を手がけた一人だ。
李さんは14年前に交換留学プログラムに参加し、大学生活最後の1年を東京で過ごした。ある日、住んでいた部屋の近くを流れる川で色鮮やかなカモを目にし、人と自然が調和する美しい光景が深く心に刻まれた。これが李さんのバードウオッチングとの縁の始まりだった。
四川省自貢市で有名なバードウォッチングの名所、南湖生態公園。(9月5日撮影、成都=新華社配信)
李さんは帰国後、故郷でバードウオッチング協会を設立した。自身の趣味のために作った協会だったが、思いがけず幼い頃の仲間が集まり、今では一緒に鳥類や自然環境の保護に取り組んでいる。
17年3月、自貢市富順県の沱江(だこう)流域で国家1級重点野生保護動物のコウライアイサが偶然発見された。市内でコウライアイサが見つかったのはこの時が初めてで、道に迷ったのか、それとも移動の通り道だったのか、はたまたこの地域で冬を越すつもりだったのかを判断すべく、李さんの仲間の沈雨黙(しん・うもく)さんがパートナーとともに流域で継続的なモニタリングを実施することになった。
四川省自貢市バードウオッチング協会の仲間とフィールドワークを行う、李一凡(り・いつはん)さん(右)。(2017年6月12日撮影、成都=新華社配信)
沈さんは「1回の記録だけでなぜこの鳥がこの場所に留まっているのかを判断することはできない。四季を通じた長期間の観察が必要」と語った。
モニタリング調査によって、コウライアイサはこの地域で越冬する渡り鳥だと判定された。その結果は関係部門を動かし、23年には県内の203ヘクタールが湿地保護区域に指定された。同市の沱江流域で湿地保護区域が設けられたのは、この時が初めてだった。(記者/康錦謙)
野鳥を撮影する李一凡(り・いつはん)さん。(2016年1月12日撮影、成都=新華社配信)
四川省自貢市富順県の沱江流域で撮影したコウライアイサ。(2023年10月31日撮影、成都=新華社配信)
四川省自貢市栄県の高石梯森林公園で撮影したミスジマシコ。(2021年11月7日撮影、成都=新華社配信)