江蘇省無錫市の湖でウォータースポーツを楽しむ人たち。(南京=新華社配信)
【新華社南京10月7日】午前はエクストリームスポーツ施設でロッククライミング、午後はカヤック、夜は屋内プール。中国で1日に始まった国慶節7連休(1~7日)の初日、スポーツ愛好家の王琳(おう・りん)さん(28)は旅行先でこのような1日を過ごした。
「スポーツだけでなく、キャンプや果物狩り、美しい景色も楽しめる」。王さんは江蘇省の無錫市から南京市溧水(りつすい)区までの約160キロを車で走り、同区のスポーツ観光プログラムに参加した。
王さんが参加したのは江蘇省が国慶節休暇に合わせて打ち出したスポーツ観光18コースの一つ。同省のロッククライミングやゴルフ、サッカー、ウインタースポーツなどのプログラムは、全国各地から訪れた観光客から高く評価された。
中国では、スポーツのために一つの都市を訪れるのが若者を中心に新たな観光トレンドとなっている。多くの都市もスポーツイベントやフィットネスをテーマにしたスポーツ観光ルートを用意し、特に連休に外出する人々の選択肢を増やしている。
オンライン旅行大手の同程旅行によると、1~7月のスポーツ観光に関する検索数は前年同期比87%と大幅に増加した。体力づくりからスポーツを通じた交流まで、スポーツ観光は没入型観光に活気をもたらしている。
無錫市の中心市街地でこのほど開かれたスタンドアップパドルボード(SUP)の大会では、全国から参加した選手300人が熱戦を繰り広げ、大勢の人々が河岸から声援を送った。大会に参加した杭狄鋒(こう・てきほう)さんは「古い運河でのパドルボードは、水がとてもきれいで、運河沿いの素朴な街並みの雰囲気も素晴らしかった」と話した。
同市文化観光部門の担当者は「スポーツイベントを観光地や市街地、商業地で行うことで、文化観光や宿泊、飲食、交通などの消費もけん引できる」と語った。
江蘇省無錫市の屋内スキー場でウインタースポーツを楽しむ人たち。(南京=新華社配信)
一部の都市は既にスポーツ消費の恩恵を受け、ブランド効果も生み出している。貴州省黔東南(けんとうなん)ミャオ族トン族自治州の台江県はアマチュアバスケット、榕江県はアマチュアサッカーの大会でそれぞれ有名になり、2023年5月中旬~6月末は榕江県を訪れた観光客が1200万人近くとなり、観光総収入は130億元(1元=約21円)を超えた。
江蘇省では今年1~6月に観光地や市街地、商業地で各種スポーツイベントが273回開かれ、計約45万1千人が参加。イベントに伴う人出は約385万人に上った。うち消費統計のある143回では、宿泊や飲食、観光などの関連消費が計約23億6千万元となった。
国家体育総局が21年に発表した第14次5カ年規画(21~25年)のスポーツ発展計画は、25年までにスポーツ産業の規模を5兆元、市民のスポーツ消費の規模を2兆8千億元以上にする方針を打ち出している。
旅行業界の専門家、羅兹柏(ら・しはく)氏は「スポーツ観光は消費の新たなブルーオーシャン市場で、大きな将来性がある。健康や娯楽、文化体験に対する消費者の多様なニーズに応えている」と語った。(記者/何磊静)