北京中軸線の東側にある天壇公園を訪れた観光客。(7月19日撮影、北京=新華社記者/鞠煥宗)
【新華社北京9月27日】国慶節の大型連休(10月1日~7日)をひかえた中国で、旅行予約がピークを迎え、「国慶節はどこへ行く」が検索の急上昇ワードとなっている。複数の旅行サイトのデータからは、国慶節連休の予約は長期旅行が中心で、各地の伝統文化や秋景色が人々の関心を引き付けていることが分かる。
山西省臨汾(りんふん)市隰(しつ)県にある千仏庵大雄宝殿の塑像。(2022年8月12日撮影、太原=新華社記者/馬毅敏)
中国観光市場ではここ数年、伝統文化の美しさに触れる文化施設や博物館の見学、漢服(漢民族の伝統衣装)を着ての撮影などの人気が高まっていた。中国発アクションRPG「黒神話:悟空」が夏休みの終わりから大ヒットし、中国の伝統文化や美意識に新たな活力を吹き込んでいることも手伝い、今年の国慶節も伝統文化や古建築・古鎮をテーマにした旅が文化観光消費をリードしている。
オンライン旅行会社大手の同程旅行が発表したリポートによると、国慶節連休中の国内旅行先の一番人気は依然として北京。故宮や万里の長城、国旗掲揚見学などを回る定番コースに加え、今年は世界遺産への登録が決定した「北京中軸線」関連の旅行商品の予約が前年同期比69%増の人気を見せ、若年層や親子連れから高い注目を集めている。
太原や敦煌、洛陽など伝統文化の観光が盛んな場所も9月以降、予約人気が高まり続けている。中でも「黒神話:悟空」のゲーム内で舞台となった「ロケ地」は人気を急速に高め、国慶節連休での山西省各地の注目度を押し上げた。同程旅行のデータによると、太原観光の予約人気は前年同期比47%増え、国内人気旅行先ランキングのトップ10に入った。
11日、貴州省安順市の黄果樹風景区で記念撮影する観光客。(貴陽=新華社記者/李驚亜)
秋景色の観賞はこれまでも国慶節連休の人気テーマの一つだった。大手旅行サイト「馬蜂窩(マーフォンウォ)」によると、秋の行楽への関心度はここ1カ月で倍に高まり、自然を楽しめる観光スポットが一番人気となっている。中国国内の注目スポット10カ所のうち、自然系は8カ所を占めた。浙江省杭州市の千島湖はリゾート、レジャー、遊びなどが楽しめ、さまざまな年齢層の多様なニーズに応えられると、人気を4倍に高め、全国注目スポットのトップに輝いた。
オンライン旅行大手「途牛旅遊網(Tuniu)」のデータによると、国慶節の旅行予約では、貴州省安順市の黄果樹(こうかじゅ)瀑布、江西省上饒(じょうじょう)市の婺源(ぶげん)、安徽省の黄山、湖南省張家界市の天門山、新疆ウイグル自治区の喀納斯(カナス)など、秋景色の美しさで知られる観光スポットが人気を集めている。
新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州アルタイ地区の喀納斯(カナス)風景区を散策する観光客。(7月22日撮影、ウルムチ=新華社記者/丁磊)
中国とビザ(査証)の相互免除協定を結ぶ国が増える中、国際線の便数も急増し、国慶節連休中も多くの中国人が長期の海外旅行を計画している。同程旅行のプラットフォームでは、中国から欧州や中東、アフリカなどへ向かう人気旅行商品の多くが連休1カ月以上前に完売した。連休中にエジプト、トルコ、ハンガリー、ケニアなどを訪れる航空券の予約人気はいずれも前年同期比4倍以上に上昇した。馬蜂窩のデータでは、シンガポール、タイ、マレーシアなどのビザ不要の国が依然、主な中国人の海外旅行先となっている。
インバウンド(訪中外国人)の伸びも目覚ましい。ビザ政策の継続的緩和と中国旅行の世界的人気で、中国を観光に訪れる外国人が増加している。オンライン旅行会社大手、携程集団(トリップドットコムグループ)のデータによると、インバウンドの伸びはアウトバンド(中国人の海外旅行)を上回り、予約数は前年同期比60%増と大幅に増加している。
バーカウンター式観光車両で、天津中心市街地のナイトツアーを楽しむ外国人。(8月17日撮影、天津=新華社配信)
一連のデータは中国観光市場の活況を示している。国慶節連休中も旅行者数と観光消費額は過去最高を更新し、通年の観光経済は改善が続くとみられる。(記者/楊珏)