前漢墓から出土の青銅鎮、古代中国の暮らし映す

前漢墓から出土の青銅鎮、古代中国の暮らし映す

新華社 | 2024-09-25 16:56:24

   【新華社南昌9月25日】中国江西省南昌市にある前漢時代の海昏(かいこん)侯、劉賀墓からは青銅鎮計51点が出土している。多くは4点1組で、漢代の青銅鎮の各種形状をほぼ網羅。特に動物をかたどったものが多く、シカやヒョウ、ガン、スッポンなどの形がある。多くは体を丸めて横たわった姿で、重心が低く安定し、床に置いた際に衣服に絡まない設計となっている。

   これらの青銅鎮は当時、床に敷いたむしろがめくれないよう四隅を押さえるのに使われていた。床の上で生活するというと現在は日本の畳が有名だが、中国でも高さのある家具が使われるようになるまでは、床にむしろを敷き、食事や休憩、仕事などはいずれもその上で行うのが一般的だった。漢代には寝台の上や机の周りなどにむしろが敷かれ、めくれないよう四隅に重しが置かれていた。

   考古学調査によると、漢代の重し「漢鎮」は種類が多く、造形が多様で、装飾と作りが精巧で、広く使用されていた。中国各地の漢墓からはさまざまな様式の鎮が数多く出土している。被葬者の地位が高い墓では、形状の異なる複数の鎮のセットが同時に出土している。材質は金属と玉石があり、歴史的記録では玉石鎮の方が早く出現したことが確認できるものの数は少ない。

   漢鎮はむしろだけでなく、賭け事のための遊戯盤の重しとしても使われていた。レンガや石に刻まれた、漢代に流行した「六博棋」の対戦の様子からは、遊戯盤の四隅に鎮が置かれているのがはっきりと確認できる。劉賀墓から出土した「鑲玉(じょうぎょく)亀形鎮」は重さわずか149グラムで、むしろの重しとしては重量が足りないことから、遊戯盤の重しだった可能性が高い。背部にべっ甲がはめ込まれた「鹿形鎮」も軽量であることから同様の用途だったと推測される。

   人々はこれらの青銅鎮を通じ、2千年前の前漢時代の生活を垣間見ることができる。同時に青銅器が当時、礼器としての意味を次第に失い、より世俗的で生活に近い商品へと変化しつつあったことも分かる。青銅器は主要な日用器具として、漢代の日常生活の各方面で活用されていた。(記者/袁慧晶、譚茜予)

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