鳴沙山・月牙泉風景区。(8月24日撮影、敦煌=新華社記者/梁軍)
【新華社敦煌9月18日】中国甘粛省敦煌市にある三日月形の湖、月牙泉の水位が上昇している。人間活動の影響により一時は消失の危機にさらされていたが、長年にわたる生態系管理の取り組みにより、細くなっていた三日月の幅が広がってきた。
鳴沙山・月牙泉風景区サービスセンターの李瑛(り・えい)主任によると、月牙泉の平均水位はここ数年、着実に上昇している。2021年に3メートルを越え、過去2年間は3・2メートル前後で推移。水域面積も27・5ムー(約18300平方メートル)で安定している。
鳴沙山・月牙泉風景区で写真を撮る観光客。(8月24日撮影、敦煌=新華社記者/梁軍)
李さんは「周辺地域の環境改善が続き、今年は人工的な補水措置を直接講じることなく、地下水位の上昇のみで現在の水域面積を維持している」と語った。月牙泉は砂漠のオアシスとして、周辺の生態系を維持する上で重要な役割を果たしており、保護活動によって動植物の生息・生育地が広がり、生物多様性の保全、砂漠の生態系維持につながるという。李さんはまた、月牙泉が悠久の歴史や文化を持つ敦煌文化の重要な一部でもあると説明した。
湖の水位は1970年代以降、年々低下し、90年代末には湖底が露出したこともあった。水位が最も低かった時の水域面積はわずか2・6ムー(約1700平方メートル)だった。地元では月牙泉から5キロの場所に水の浸透施設を設け、地下水のくみ取りを制限することで上流の重点地域の地下水位を上昇させ、周辺の地下水位低下を抑えた。
多くの観光客が訪れた鳴沙山・月牙泉風景区。(8月24日撮影、敦煌=新華社記者/梁軍)
月牙泉は湧水によって形成され、3方向からの砂が吹き上げられて埋もれることなく珍しい景観を生み出した。李さんは「水域面積の回復には補水だけでなく、自然条件下で風の動的平衡を維持することが必要だ」と指摘する。
風や砂の動きが及ぼす影響を調べるため、研究者らは先端技術を活用し、砂丘の形成や発達を動的に監視している。デジタル解析により、砂丘の形成や変化に関するデータベースと地形模型を構築し、月牙泉を見守り続けている。(記者/梁軍)
鳴沙山・月牙泉風景区で写真を撮る観光客。(8月24日撮影、敦煌=新華社記者/梁軍)
ライトアップされた鳴沙山・月牙泉風景区。(8月24日撮影、敦煌=新華社記者/梁軍)