自転車で街を走る観光客。(資料写真、上海=新華社配信)
【新華社北京9月6日】中国のSNSではこのところ、秋のサイクリングがたびたびトレンド入りしている。「秋のロマンの半分はサイクリング」「秋はもちろん仲間とシティーライドを楽しむ」など、自転車で街を巡る「シティーライド」がシティーウォーク(街歩き)に続く新たなレジャーのトレンドになっている。
北京市の鼓楼付近を自転車で走る中国と外国の大学生。(7月24日撮影、北京=新華社記者/魏夢佳)
自転車愛好家にとって、シティーライドの移動のテンポはシティーウォークより性に合っている。歩くのは遅すぎ、車では速すぎるという。シティーライドにはまる人たちは体力やスピードを競うのではなく、自転車で気軽に街中を走り回る感覚を好み、レジャーやライフスタイルの一つと捉えている。決まったルートはなく、目的も多種多様で、生活感あふれる路地を巡る中で、よく冷えた特製ラテ、焼きたてのお菓子など、新しいものに出会えるかもしれないという期待感を楽しんでいる。取材をした20代の男性は「仲間と話をしながら自転車に乗っている。気持ちをリフレッシュさせ、仕事の疲れとストレスを解消している」と話した。一人で走るか、決まった仲間と一緒に走るのが好きだという。
雲南省昆明市の自転車専用道を走るサイクリング愛好家。(資料写真、昆明=新華社記者/黄韜銘)
街中のサイクリングは環境にやさしく、健康に良いだけでなく、社交的要素も備えている。話を聞いた大学院生の女性は「サイクリングをすると気分が良くなり、元気も湧いてくる。気の合う仲間も大勢できた」と語った。週末や平日の夜に数人の仲間とルートや楽しみ方を開拓し、都市の息づかいを感じることが、若者の友達づきあいの一つになっている。
各地で開かれているさまざまなテーマの市民サイクリングイベントも、シティーライド人口の増加に一役買っている。SNSにはサイクリングを楽しむ人々の姿や観光名所での記念写真、攻略法などが溢れ、シティーライドに関する投稿やメモの注目度も高まり続けている。消費や流行に敏感な若者に人気が高いSNS・電子商取引(EC)アプリ「小紅書(RED)」が8月に発表した都市の若者文化に関するリポートによると、今年以降の同アプリでの「シティーライド」関連キーワードの検索数は前年の500倍に急増。連れ立って出かけられるサイクリングは間違いなく人気の社交手段となっており、若者を取り込み続けている。
北京市昌平区が打ち出した文化と観光をテーマにしたサイクリングコースを走る人たち。(資料写真、北京=新華社配信)
若者の間のサイクリングブームの高まりは、自転車市場全体をけん引している。中国自転車協会によると、今年1~3月の自転車メーカーの生産台数は前年同期比15%増の731万台となり、売上高は2・3%、利益は13・0%それぞれ増加した。自転車愛好家向けサイト「美騎網(BIKETO)」を運営する広州美騎網絡科技企業の創業者、周福源(しゅう・ふくげん)最高経営責任者(CEO)は「サイクリング製品は自転車本体やパーツ、装備、付属品、関連製品など幅広く、付加価値も高い。旅行やレジャーに取り入れやすく、人気のライフスタイルになっている」と語った。(記者/楊珏)
SNSアプリ「小紅書(RED)」に投稿されたシティーライドに関する写真。(資料写真、北京=新華社配信)