中国の伝統暑気払い薬、融合イノベーションで海外進出

中国の伝統暑気払い薬、融合イノベーションで海外進出

新華社 | 2024-09-05 11:33:37

   8月27日、重慶太極実業(集団)の中薬標本館で展示されている暑気払いの効果を持つ藿香正気液の生薬標本。(重慶=新華社記者/劉恩黎)

 【華社重慶9月5日】中国で夏の暑さから「かまど都市」と呼ばれる重慶市はこのところ、猛暑により一部の地域で最高気温が40度を超えている。重慶では中薬(中国の伝統薬剤)で暑さを和らげる習慣が以前からあるが、今では現代技術の融合イノベーションの下、多くの種類の現代中薬製品が海外に進出し、人々に暑気払いの新たな選択肢をもたらしている。

   重慶で生産される暑気払いの薬「藿香(かっこう)正気液」は中国伝統の暑気払いの中薬で、多くの中国人にとって焼けるような暑さに対処する最良の選択肢となっている。製品を手がける重慶太極実業(集団)の担当者は「藿香正気液の歴史は長く、宋代の薬剤処方集までさかのぼれる」と紹介。同社では伝統中薬を継承しつつも1980年代に四川省の成都中医薬大学と共同研究を行い非処方薬である同薬を改良したと説明した。

   重慶太極実業(集団)の生産拠点「太極医薬城」で自動化された中薬の抽出工程。(資料写真、重慶=新華社配信)

   伝統的な藿香正気水にはエタノールが40~45%含まれていて辛味があり、女性や子ども、高齢者の服用に適さなかったが、同社は脱アルコール工程や可溶化などの技術革新を通じて薬液中に含まれるエタノール成分を除去。味の改良で服用対象を広げつつ、従来の薬効と安全性を確保した。

   融合イノベーションを経た現代中薬にスマート化、自動化された新型生産ラインは欠かせない。太極実業傘下の太極集団重慶涪陵(ふりょう)製薬廠のデジタル化工場では、スマート化された生産システムが1700余りの設備を遠隔制御し、材料投入から抽出、充填、洗浄、検査に至る生産データを24時間自動で収集している。

   重慶市涪陵区にある重慶太極実業(集団)の生産拠点「太極医薬城」のデジタル化生産ライン制御センター。(資料写真、重慶=新華社配信)

   同工場の担当者によると、2万平方メートルの生産エリアには全自動の充填ライン12本と包装ライン15本のほか、2万個以上のスマートセンサーが設置されている。産業用ロボットやスマート輸送車などが人による作業を代替し、生産工程の標準化レベルと生産効率も向上した。

   同集団の現代中薬製品はここ数年、海外でも注目が高まっている。今年5月にはアルゼンチンやパキスタン、ドイツ、セルビア、シンガポールなどの中国駐在外交官らが工場見学に訪れ、中薬の現代化製造工程に対する理解を深め、伝統中薬が持つ文化的魅力に接した。同集団の輸出製品の中では藿香正気液や咳止め薬「急支糖漿」の販売が好調で、高温多湿のインドネシア、シンガポール、マレーシア、ブルネイなど東南アジアでは藿香正気液の人気が高い。

   重慶太極実業(集団)の生産拠点「太極医薬城」で、中薬派生商品「藿香味コーラ」を試飲する外国人客。(5月17日撮影、重慶=新華社配信)

   中薬製品の融合イノベーションが進む中、業界の垣根を越えた新製品も多く生まれている。同集団も「藿香アイス」「藿香正気コーラ」など藿香正気液の関連製品を発売し、若者に受け入れられている。

   統計によると、同集団のブランド「太極(TAIJI)」は現在、60近い国・地域で商標登録され、太極藿香正気液を中心とする各種現代中薬製品がアジアや欧米など20カ国・地域余りに輸出されている。(記者/劉恩黎、沙青、趙佳楽)

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