中国の農業人材育成プロジェクト、アフリカの農業発展を支援

中国の農業人材育成プロジェクト、アフリカの農業発展を支援

新華社 | 2024-08-29 14:11:26

19日、トウモロコシの出穂状況を確認するマラウイから来た「中国・アフリカ科技小院」の留学生。(北京=新華社記者/魏夢佳)

  【北京8月2日】中国北京市にある中国農業大学の試験田では8月、トウモロコシが青々とした穂を付けた。マラウイからの留学生フランシーナ・レラト・クワリさん(35)は、人の背丈ほどに伸びたトウモロコシ畑でクラスメートと栽培技術について話し合っていた。

  クワリさんはマラウイから大学に戻ってきたばかり。この1年、彼女とクラスメートは中国農業大学で学んだ農業技術を利用して、マラウイの農家30人にトウモロコシ栽培支援を行った。現地の一般的なトウモロコシ畑の収量が1ムー(約667平方メートル)当たり150~200キロにとどまる中、クワリさんらが支援した農家の畑30ムー(2ヘクタール)余りでは約600キロの高収量を実現した。

  「中国の農業栽培技術はとても喜ばれている。農家の収穫は3~4倍に増えた」とクワリさんは試験結果について興奮気味に語った。

マラウイで「中国・アフリカ科技小院」の農業栽培技術指導の下、豊作となったトウモロコシを手に記念撮影をする地元農家。(5月10日撮影、北京=新華社配信)

  クワリさんはマラウイで農業技術普及員をしている。2022年に中国農業大学に留学し、「中国・アフリカ科技小院」修士課程の学生となった。「農業はマラウイ経済の柱だが、収穫量が非常に少ないうえ、農業機械や肥料などは高額で手が届かないことが最大の課題。中国は農業が非常にうまくいっており、どうすれば母国の農家の技能水準を向上させられるのか、中国の方法を知りたくてここに来た」という。

  クワリさんが農業を学ぶ「中国・アフリカ科技小院」は、2019年に世界銀行や国連食糧農業機関(FAO)などの支援を受けて発足した中国・アフリカ農業教育プロジェクトで、中国農業大学が中国とアフリカで実施している。アフリカから修士課程の留学生を募集し、農業実践と技術交流を通じて中国の経験をアフリカの質の高い農業人材育成に役立て、農業発展を支援することを目指している。

  プロジェクトの責任者で中国農業大学資源・環境学院副教授の焦小強(しょう・しょうきょう)氏は「プロジェクトは当初、アフリカと中国の農業生産の共通点を考慮して構想された」と紹介。「最も主要な目的は、アフリカと共有できるモデルを構築して、地元の農家が技術を習得、応用し、アフリカ農業のグリーントランスフォーメーション(GX)と食料安全保障の問題に関して新たな道を探ることにある」と述べた。

19日、マラウイからの留学生にトウモロコシ栽培技術に関する講義をする「中国・アフリカ科技小院」プロジェクトの責任者で中国農業大学資源・環境学院副教授の焦小強氏(中央)。(北京=新華社記者/魏夢佳)

  中国農業大学は「実践–理論–再実践」の「1+(プラス)1+1」の人材育成モデルを提案している。1年目は中国で理論を学び、農業の実践的な技能を身に着け、2年目はアフリカに戻って実践研究を行いつつ、中国の適用可能な技術や方法を普及させ、現地の農業生産における実際的な問題を解決する。3年目は再び中国に戻り、研究と論文の口頭試問を終える。

  「一部の学生は留学前から『中国は世界の耕地の約9%で世界全体の約22%の人口を養っている』ことを知っているが、中国に来てこの奇跡を目の当たりにしている」と焦氏は言う。河北省邯鄲(かんたん)市曲周県にある農業拠点では、1人の農家が1~2人の留学生の技術学習や実習を指導し、植え付けから収穫までの全プロセスを体得させ、農業技術を理解、習得できるようにしている。

  クワリさんは「中国の農業技術は非常に有用で、私はマラウイの全ての農家がこれらの技術を利用できるようにし、彼らの暮らしを向上させ、わが国が十分な食糧を生産できるようにしたい。それがアフリカの食糧危機の緩和にも役立つと思う」と語った。

マラウイ農村部の科学技術導入農家の試験田(左)と一般農家の生産田(右)でトウモロコシの収量を比較する「中国・アフリカ科技小院」の留学生ペムフェーロさん。(4月29日撮影、北京=新華社配信)

  中国農業大学はこれまで国内パートナーと共同で、ザンビアやタンザニア、マラウイなどに七つの「中国・アフリカ科技小院」を設立した。この人材育成モデルは、農業生産の最前線における科学技術イノベーションと社会サービス実践の典型的な事例として、FAOにより世界的に推進されている。「中国・アフリカ科技小院」はアフリカ12カ国で合計91人の新しい実践型の農業人材を募集し、うち36人が修了した。修了生の多くがアフリカに戻った後、自国の農業生産の最前線で研究と実践を続けている。

  最近、ケニアに調査に行った焦氏は、現地にも「小院」を立ち上げたいと考えている。焦氏は「私たちはここ数年、中国・アフリカ科技小院を通じてアフリカの質の高い人材を育成し、アフリカの農家の内発的発展能力を高め、彼らの食糧増産実現に貢献してきた」と振り返り、「このモデルがアフリカ中で花開き、農業に取り組む意欲あるアフリカの若者をより多く育成し、アフリカ農業のGXのための新たな発展モデルを提供できることを願っている」と語った。(記者/魏夢佳)

本ウェブサイトに関するご意見、ご提案等が

ありましたら xinhuanetjp@126.com までご

連絡ください。