7日、ワイナリー「望月石酒荘」のブドウ畑で、ブドウの糖度を測定するフェデリコ・カラバハルさん。(青銅峡=新華社記者/劉海)
【新華社銀川8月27日】中国寧夏回族自治区青銅峡市のワイナリー「望月石酒荘」で首席醸酒師(醸造家)として働くフェデリコ・カラバハルさん(31)は、世界的に有名なワイン生産国アルゼンチンからやって来た。故郷のメンドーサ州は同国最大のワイン生産地で、生産量は国全体の6割以上を占める。
フェデリコさんの父親も醸造家で、自身は15歳からワイン生産に関わってきた。アルゼンチンのクヨ国立大学でブドウ栽培と醸造学の修士号を取得した後、同国やスペイン、米国など数カ国のワイン生産地で醸造の仕事に携わってきた。
今年3月、米ペンシルベニア州のワイナリーを退職した後、単身中国に渡った。現在は望月石酒荘でブドウ畑の管理やワインの醸造、実験室の業務を担当している。
「アルゼンチンで働いていたとき、中国に賀蘭山東麓というワイン生産地があると耳にした。そこで生産される良質なワインが国際的なコンクールで好成績を収めていると知り、中国産の最高のワインを造りたいと憧れていた」と語った。
銀川市一帯に広がる賀蘭山東麓は、北緯約38度に位置する。日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きく、乾燥した温暖な気候が特徴で、土壌は炭酸カルシウムを多量に含む灰色土や、小石が多く混じった礫土(れきど)、砂質土が多い。独特の自然条件により、ブドウは香りが芳醇で着色も良好、糖度が高く、適度な酸味もあり、良質なワイン用ブドウの栽培や高級ワインの醸造に最も適した「黄金地帯」の一角であると業界から認められている。
7日、ワイナリー「望月石酒荘」のワインセラーで、ワインを試飲するフェデリコ・カラバハルさん(左)。(青銅峡=新華社記者/劉海)
賀蘭山東麓はワイン用のブドウ畑が連綿と続く地帯で、栽培面積はこの40年間で60万2千ムー(約400平方キロ)にまで拡大、国内最大の生産地となった。ワイナリーが261社あり、ワインの年間生産量は1億4千万本に上り、ワイナリー数とワイン生産量はいずれも国内最多を誇る。
フェデリコさんが働くワイナリー望月石酒荘は、賀蘭山東麓の鴿子山生産区に位置し、800ムー(約53ヘクタール)余りのブドウ畑があり、年間生産量は約300トンに及ぶ。ワイナリーが導入したカベルネ・ソーブィニヨン、マルセラン、マルベックなどの9品種は、区画ごとに分けて栽培され、それぞれ厳しい管理基準が設けられている。
フェデリコさんは「マルベックはアルゼンチンでは栽培が盛んな人気品種。寧夏の土壌や気候は私の故郷によく似ており、地元の人たちはみんな優しく、非常に親しみを感じる。中国に来たのは初めてだが、ブドウ畑や醸造所の設備、実験室に導入された機器、国際的なチーム、全てに親近感を覚える」と語った。
フランス出身のニコラス・グリマさんは、望月石酒荘の共同創業者。ボルドーのワイン一族の6代目であり、数年前に国内外の銘醸地を数多く訪れた後、賀蘭山東麓の独特の自然に魅了された。「ここで世界的に有名なワインを造ろう」と2017年に中国人の共同創業者と共にワイナリーを設立した。
7日、ワイナリー「望月石酒荘」のオフィスで、中国語のオンライン講座を受講するフェデリコ・カラバハルさん。(青銅峡=新華社記者/劉海)
ニコラスさんは「フランスやチリ、アルゼンチンなどから醸造家やソムリエを呼び、中国人の同僚らと国際チームを結成。初めて造ったワインが国際的な賞を受賞した」と説明。フェデリコさんはニコラスさんに誘われてワイナリーに入ったという。
寧夏回族自治区はここ数年、ワインを通じた国際交流や相互理解に取り組んでいる。210種類以上のワイン用ブドウを導入し、世界23カ国から60人余りの醸造家を招いて協力を仰ぎ、栽培管理や醸造技術水準の向上を図った。25カ国のソムリエコンクール優勝者を「賀蘭山東麓ワイン普及大使」に任命し、国際的な影響力の拡大にも努めている。
「多くのワイン愛好家や観光客が寧夏を訪れて、ワインの試飲やワイナリーの見学などを楽しむ姿を見かけるようになり、大変うれしい。ワイン観光振興の一助になれば幸いだ」とフェデリコさんは語った。(記者/劉海)