【新華社武漢8月24日】中国の華中農業大学はこのほど、同大の付新華(ふ・しんか)教授のチームと、湖北大学の李代芹(り・だいきん)教授、張士昶(ちょう・しちょう)副教授のチームによる最新の研究により、一般的な網を張るクモのオニグモがホタルの発光信号をコントロールし、より多くのホタルを捕獲できることを発見したと明らかにした。関連の研究成果は、国際学術誌「Current Biology」に掲載された。
網にかかった雄のAbscondita terminalisを操り、より多くの雄を捕獲することに成功したオニグモ。(資料写真、武漢=新華社配信)
付教授は「これまでの研究で、クモの巣にかかるホタルは多くが雄で、雌は見かけないことに気付き、その点に注目した」と述べた。通常、雄の Abscondita terminalis(ホタル亜科)は発光器を2節使って発光し、多パルス性の雄の求愛信号を発信する。しかし、オニグモに捕獲されると毒素を注入されて操られ、発光器が1節しか発光しない単パルス性の雌の求愛信号を模倣するようになり、これにより多くの雄がおびき寄せられ、最終的に網にかかり捕獲されるという。
チームはさらに研究を進め、通常の雄のAbscondita terminalisをクモの巣に置くと、オニグモは典型的なコントロール行動をした上で、「獲物」がかかるのをじっと待つが、発光器を黒く塗った雄を巣に置くと、オニグモはすぐに捕食し、コントロール行動は見られないことを発見。対照的に、操られた雄は明らかにより多くの雄を誘い込んだ。
発光器を1節だけ使い、メスの光の明滅パターンに似るようにコントロールされた雄のAbscondita terminalis。(資料写真、武漢=新華社配信)
付教授は「クモの毒素は、ホタルの光の点滅信号を制御する神経系統に影響を与えている可能性がある。クモは網にかかった雄のホタルに毒素を注入し、光の点滅信号をコントロールすることで、メスの発信する信号に似せ、より多くの獲物を引き寄せる」と指摘。研究チームは、網を張るクモの視力がかなり悪いにもかかわらず、ホタルの光の点滅信号を感知でき、異なる捕食戦略を取ると推測しており、オニグモがホタルの光の点滅信号をコントロールする行動は、進化の過程で獲得された可能性があるとの見方を示した。(記者/侯文坤)