カイナンターミンジカ、絶滅の危機から安定的増加へ 中国海南省

カイナンターミンジカ、絶滅の危機から安定的増加へ 中国海南省

新華社 | 2024-08-21 07:45:49

   【新華社海口8月21日】中国海南島西部の低地疎林には、シカ科ヌマジカ属の亜種で同島固有種のカイナンターミンジカが生息している。中国の国家1級保護野生動物であり、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでも絶滅危惧種(CR)に分類されている。

10日、海南大田国家級自然保護区に生息するカイナンターミンジカ。(海口=新華社記者/陳子薇)

   カイナンターミンジカは、長いまつげと黒く丸い目をしている。雌は首がほっそりと長く、背中の中央から尾にかけて黒褐色の縦じまが走り、しまの両側に白い花のような斑点が点在し、優雅な体つきをしている。雄はより濃い毛色で、象徴的な「C」字形をした角が雄らしさを際立たせている。鋭敏さと温和さを感じさせる雌に対し、雄の目はより落ち着いた奥深い印象を与える。

   1950年代、カイナンターミンジカはまだ比較的安定した生息数を保っていた。しかし、人間の活動による干渉を受けて生息域が縮小し続け、一時は個体数が26頭まで激減し、絶滅の危機に直面した。

   カイナンターミンジカを保護するため、中国は長期にわたる取り組みを続けてきた。1970~80年代以降、海南大田国家級自然保護区と海南邦渓省級自然保護区を設立し、カイナンターミンジカの保護と発展に注力してきた。

9日、海南邦渓省級自然保護区にあるカイナンターミンジカ科学教育館。(海口=新華社記者/陳子薇)

   大田保護区は長年にわたり、カイナンターミンジカを保護するため、高い柵の設置や生息地の環境改善、人工飼育、社区(コミュニティー)との共同管理、山岳パトロールの強化、生息域外保全などを進めてきた。一連の保護措置により個体数は徐々に増加し、400頭近くまで回復した。

   同保護区総合科の責任者、李善雄(り・ぜんゆう)氏によると、保護区はここ数年、中国科学院動物研究所や華南師範大学などの大学や研究機関とカイナンターミンジカの個体群動態モニタリングや数量調査、遺伝的多様性や分類学的研究などに関する共同研究を実施している。

10日、人工飼育されたカイナンターミンジカ「田田(ティエンティエン)」と触れ合う人々。(海口=新華社記者/陳子薇)

   現在、大田保護区では維管束植物519種、脊椎動物94種が記録されており、代表的な生物種のカイナンターミンジカ以外にも、ミズオオトカゲやコジャコウネコなどの国家1級重点保護野生動物、ビルマニシキヘビやハイナンノウサギなどの国家2級重点保護野生動物も生息する。

   各方面の努力を通じて、カイナンターミンジカの個体数は着実に増加し、現在では約千頭に達した。人工的な移転保護により、生息地は徐々に拡大し、大田、邦溪両保護区から海南省文昌市や獼猴嶺などへと広がっている。(記者/陳子薇)

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