7日、農牧民に保険政策を説明する林業・草原部門と保険会社の職員(左)。(ウルムチ=新華社記者/張暁竜)
【新華社ウルムチ8月17日】中国新疆ウイグル自治区北部のボルタラ・モンゴル自治州は今年、農牧民の牛や羊、ラクダなどの家畜を対象とした「野生動物被害補償保険」を導入、オオカミや熊など野生動物による家畜被害に対する農牧民の経済的損失を効果的に軽減している。
モンゴル族のウユタさん(63)は、同自治区温泉県塔秀(タシュ)郷冬都布勒格村の大型牧畜農家。600頭の羊を妻と飼育しているが、4月にオオカミ6匹に突然襲われ、30頭が死んだ。「毎年、オオカミの群れによる損害は大きく、ざっと見積もって少なくとも6、7万元(1元=約21円)になる」と家畜の市場価格による損害額を明かした。
同自治州野生動植物保護管理センターの責任者、クデルハン・バヤ氏は、生態環境の改善が進み、社会の動物保護意識が高まるのに伴い、オオカミや熊など野生動物の個体数増加が顕著で、家畜と野生動物の衝突がますます激化していると指摘した。
同自治州政府は昨年末、関連の活動計画を打ち出し、同自治区初となる陸生野生動物による被害に対する補償保険制度を創設し、自治州と県(市)両レベルの財政から300万元の保険料を負担、保険金の支払い上限額は2千万元に設定した。
保険の補償基準によると、羊1頭の基本補償額は500元、牛1頭は2500元となる。より十分な保障を受けられるよう、保険会社は牧畜民の任意保険料追加支払いも認めており、より高額の保険金を受けることができる。ウユタさんの場合、羊600頭に追加保険料1200元を支払い、今回のオオカミによる襲撃事件で1万6千元近くの保険金を受け取って、経済的損失を大幅に軽減できた。
同自治州草原工作ステーションの李元軍(り・げんぐん)所長は、野生動物被害補償保険の成功は、農牧民に実際的支援を提供しただけでなく、野生動物による被害補償問題解決の新たな道も探り出し、同自治区の他の牧畜地域に参考となる経験を提供したと評価した。
林業・草原部門の統計によると、同保険制度の開始以来、同自治州は野生動物による被害案件を累計878件処理し、関連の被害家畜は2347頭(匹)、累計補償金額は227万1400元に上り、農牧民878世帯に恩恵をもたらした。(記者/張暁竜、周生斌)