中国の長江源流域で進む暖湿化、多くの課題もたらす 科学調査で明らかに

中国の長江源流域で進む暖湿化、多くの課題もたらす 科学調査で明らかに

新華社 | 2024-08-16 16:16:44

長江南源流域に広がる査旦湿地。(7月23日、ドローンから、西寧=新華社配信/潘彬彬)

  【新華社西寧8月16日】中国の2024年度長江源流総合科学調査チームはこのほど、長江源流域の冬克瑪底(ドンケマディ)氷河の麓に到着した。同チームのメンバーが氷河の一方の側から登ったところ、昨年氷河の下にあった完全な氷河湖が既に決壊したことが分かり、別の側から氷河に登らざるを得なかった。

  長江科学院水利部岩土力学・工学重点実験室の范越(はん・えつ)エンジニアによると、気候温暖化は長江源流域の氷河の後退を加速させ、格拉丹東(グラタンドン)雪山主峰の氷河や冬克瑪底氷河など長江源流域の代表的な氷河がここ数年、徐々に縮小する傾向にあるという。

冬克瑪底氷河で、歩いて川を渡る科学調査チームのメンバー。(7月25日撮影、西寧=新華社配信/杜笑微)

  氷河の融解水に加えて、長江上流域での極端な降雨の発生頻度や強度も高まっている。モニタリングによると、今年7月1~22日、長江源流域の降水量は平年同期に比べ53・5%増加し、最近10年間で最多を記録した。

  長江科学院河流研究所の周銀軍(しゅう・ぎんぐん)副所長と同僚らは、長江源流域の河川沿いにある一部の道路や橋が異なる程度の損傷を受け、一部の河川区間で河岸の崩落や浸食が発生していることに注目した。周氏は「高原の河川は、中下流域の一般的な河川と比較して勾配が大きく、同じ粒径の土砂の堆積速度が遅く、浸食能力が強い」とし、インフラの損傷と川の含砂量、極端な降水量との関係について、さらに研究を進める必要があると指摘。気候変動下での長江源流域にある河川の水文学的プロセスの変化パターンと仕組みの把握は、将来的な川の含砂量の変化や災害リスクを科学的に判断することに役立つとの考えを示した。

冬克瑪底氷河を探査する科学調査チームのメンバー。(7月25日、ドローンから、西寧=新華社記者/伍志尊)

  長江流域気象センターの秦鵬程(しん・ほうてい)シニアエンジニアは、長江源流域の暖湿化の傾向は今後も継続し、中程度の排出シナリオによると21世紀末に同流域の平均気温は現在より2~4度上昇、降水量も10~30%増える可能性があると述べた。

  長江源流域は地球規模の気候変動の影響を受けやすいエリアで、長江流域全体と比べて気候変動がより顕著になっている。「青海省水資源公報」によると、過去5年間の長江源流域の年平均自給水資源量は261億7千万立方メートルで、1956~2016年の平均値より40%以上も多かった。下流域へ豊富な水資源を提供している一方で、暖湿化がもたらす課題を無視することはできない。(記者/史衛燕、陳傑)

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