【新華社南京8月13日】中国江蘇省では街中にさまざまなカフェが立ち並び、コーヒー経済が活況を呈している。「一粒の生豆から一杯のコーヒー」に至るまでの出来事からは同省の貿易の新たな変化がうかがえる。
一杯のコーヒーの良し悪しを論じるにあたり、コーヒー豆は避けられない要素だ。南京税関の統計では、1~6月の同省のコーヒー輸入額は14億5千万元(1元=約21円)で前年同期比4・7倍に上り、うち9割近くを生豆が占めた。
蘇州市に先ごろ、エチオピア産スペシャルティーコーヒーの生豆21トンが到着した。コーヒー豆の輸出入などを行う蘇州蘇豆国際貿易の王蕊(おう・ずい)通関担当マネージャーは「ここ数年、国内消費者のコーヒー、特に優れた味わいの高級コーヒーに対する需要が急増しており、われわれは海外の良質な品を国内市場に供給することに積極的に取り組んでいる」と語った。
コーヒー貿易の繁栄は産業チェーンの拡大、補充、強化を加速させ、倉庫保管業界に新たなチャンスが到来している。
倉庫保管サービスなどを手掛ける江蘇安普供応鏈管理が運営する恒温恒湿倉庫は広さが8千平方メートルに及び、コロンビアやブラジルなど複数の国から輸入されたコーヒー生豆が貯蔵されている。貝徳強(ばい・とくきょう)副総経理は「コーヒー生豆保管事業の全体に占める割合は2020年に5%未満だったのに対し、今では40%に迫る」と明かす。事業拡大を受けて、同社は生豆の風味を最大限に保つため高出力の冷凍冷蔵・除湿設備を増やし、1~6月のコーヒー生豆の貯蔵量は前年同期比85%増の1万3千トンに達したという。
同省ではますます多くの都市がコーヒー産業の成長性に焦点を合わせ、市場の需要に応えて細分化された各分野の開拓を進め、国内外の市場でファンを獲得している。
南通市にある家電生産などを手がける虎生(中国)電子電器は先ごろ、約110万元分のステンレス製真空コーヒーポットを輸出した。沙燕(さ・えん)通関担当マネージャーによると、消費者のコーヒーポットや保温マグカップなどに対する需要は増加傾向を示し、同社の1~6月のコーヒー産業関連製品輸出額は5738万元と6・5倍に拡大した。
蘇州市にあるコーヒーマシンメーカー、蘇州咖博士咖啡系統科技では多くのコーヒーマシンが組み立てと品質検査、パッキングを終え、まもなく欧州へ出荷される。通関責任者の史雪微(し・せつび)氏は「製品はスマートタッチパネル機能と自動掃除システムを搭載し、数十種類の飲料のカスタマイズに対応しており、海外ユーザーからの人気が高い」と語り、現在の主な輸出先は欧州諸国だが、東南アジア・北米市場も積極的に開拓していると説明。1~6月の完成品輸出額は30%増の2億8千万元だったとし、「海外市場では全自動コーヒーマシンの需要が旺盛なことから、長期的な輸出の先行きに期待を寄せている」と付け加えた。
南京税関によると、同省の1~6月のドリップ式コーヒーマシンの輸出額は21・4%増の3206万4千元、エスプレッソマシンは58・5%増の1億7千万元近くとなった。
生活のテンポが速くなるにつれ、便利さと迅速さを誇るコーヒーエキスやコーヒー飲料などを発展の方向性とする企業も現れている。同省の1~6月のコーヒーエキスの輸出額は678万5千元で40%増加した。コーヒーエキスやフリーズドライコーヒー、カプセルコーヒーの開発・生産に専念する原力計劃飲品(江蘇)の輸出額は20%増の420万元近くとなり、史上最多を記録した。
昆山市はイタリアの非営利団体(NPO)、国際カフェテイスティング協会(IIAC)から「国際コーヒー産業の都」の称号を授与されている。同市のコーヒー焙煎能力は年間6万3千トンに上るほか、貿易貨物の仕分け、プラットフォーム取引、研究開発・焙煎、ブランドマーケティング、コーヒー関連設備を一体化した全産業チェーンを網羅するビジネスエコシステムも形成している。昆山総合保税区管理局の邵志強(しょう・しきょう)副局長は、消費者のコーヒーに対する愛と追求が世界コーヒー市場規模の持続的な拡大を促しているとし、こうした動きとチャンスをつかみ、製品とサービスを常に向上させることが貿易における競争力を保ち、長期的な発展を実現するカギだとの見解を示した。