山西省の大盂サービスエリアで充電する新エネルギー車。(7月12日撮影、太原=新華社配信)
【新華社太原8月1日】中国は世界の再生可能エネルギー分野のリーダーであり、世界一の高速道路網があり、高速道路と太陽光発電産業を融合したモデルの成長性が非常に大きい。
多くの高速道路の両サイドに設置された太陽光パネルが太陽光エネルギーを電気へと変換し、大小あるサービスエリアにはガソリンスタンド並みに充電設備が標準装備され、水素ステーションなどその他の新エネルギー施設も登場し、「グリーン(環境配慮)な光景」が見られるようになった。
交通運輸部は今年2月、「2024年全国の道路サービスエリアにおける活動要点」を発表した。二酸化炭素(CO2)排出量を30年までに減少に転換させ、60年までに実質ゼロにする「双炭(ダブルカーボン)」目標に向けて、交通分運輸分野と道路産業がグリーン・低炭素型発展に関する活動に取り組み、排出量実質ゼロを目指すサービスエリアを整備し、太陽光発電インフラの設置を推進する方針を明らかにした。
山西省では、料金所を含む高速道路全線に充電設備が設置され、多くの消費者の化石燃料車から新エネルギー車(NEV)への買い替えを後押ししている。
交通運輸産業は、中国でCO2排出量が多い3分野の一つとなっている。業界関係者は、太陽光などの再エネを利用すると、交通運輸分野の排出量を大幅に削減し、産業のグリーン・低炭素転換も推進できると見込む。
山西省太忻高速道路の分散型太陽光発電プロジェクト。(7月12日撮影、太原=新華社配信)
各地では、太陽光発電など新エネ施設の高速道路への設置が盛り上がりを見せている。四川省や上海市、湖南省などは相次いで建設計画を打ち出し、規模や配置を明らかにしたほか、電力系統の安定性と調節能力を高めるエネルギー貯蔵技術も活用するとした。
盛んに発展する新エネ交通は、電気自動車(EV)だけでなく、「水素エネルギー高速道路」も含まれる。中国エネルギー革命の総合改革試行事業として、山西省孝義市から北部地域の重要港湾である天津港を結ぶ「水素エネルギー高速道路」が5月末に開通した。沿線に複数の水素ステーションを設置することで水素燃料トラックによる輸送が実現し、中国のゼロカーボン物流の新たなモデルとなった。
四川省は最近、水素燃料車に省内の高速道路を無料開放すると発表。水素エネルギーインフラの整備を加速させ、高速道路など利用が多いエリアに、水素ステーションや水素の製造・充填一体化施設、ガソリン・ガスの総合供給施設を設置する方針も示した。
中国の高速道路グリーントランスフォメーション(GX)は他の新エネも取り込みつつある。北部地域では、高速道路へのメタノールステーション建設計画も発表された。メタノールは低炭素の酸素含有燃料として、燃焼効率が高く、排出もクリーンで、凝固点が低いため、冬季に利用するメリットが高い。
科学技術の普及・応用サービスを手掛ける山西交控新能源発展の達菊霞(たつ・きくか)シニアエンジニアは「高速道路沿線の付帯施設がアップグレードされるにつれて、EV、水素燃料車、メタノール車で構成されるクリーンエネルギー輸送体系の整備がさらに進む」と述べ、中国の「双炭」目標の実現に役立つとの見通しを示した。(記者/呂梦琦、解園)