若者のデスクで水耕栽培されているバナナ。(資料写真、北京=新華社配信)
【新華社北京7月26日】中国の若いオフィスワーカーの間で、デスクを癒やしの空間につくり変えることが流行している。「デスクの爆改造」と呼ばれる動きは、社会的属性の中で個性を守り、表現する手段であり、情緒的価値を創出するための努力でもある。
中国のSNSアプリ「小紅書(RED)」に投稿されたカニの飼育記録。(資料写真、北京=新華社配信)
多くの若者がカニを最高の「仕事仲間」と見なしている。カニの動画、特に餌を食べる様子はソーシャルメディア上でも人気が高い。硬貨より少し大きなカニ2匹が、スイカやトマト、さらにはローストダックを優雅に口に運んでいる。秘書として働く「00後」(2000年代生まれ)の田甜(でん・てん)さんは「仕事に集中した後、デスクの小さなカニに餌をやり、食べる様子を見ていると、十数分間の休憩でかなりリラックスできる」と話す。
中国のSNSアプリ「小紅書(RED)」に投稿された緑いっぱいのデスク。(資料写真、北京=新華社配信)
他にもさまざまな改造のアイデアがある。人間工学に基づいて設計された椅子や縦型ディスプレーを自費で購入したり、デスクでバナナを育て、青いバナナを意味する「蕉緑」と「焦慮」が中国語で同音であることに由来する「焦り禁止」という標語を掲げたり、好きなフィギュアや玩具を並べたり。中には緑の植物で自席を囲むつわものもいる。ブームはビジネスを生み、ある電子商取引(EC)サイトでは過去1年で1千万人以上がデスク装飾品を購入し、上海、広東省深圳などの労働組合は「最も美しいデスク」コンテストを開催した。「同僚から3LDKのデスクと呼ばれる」「退勤したくなくなる神デスク」などの話題は、ネットでの閲覧数が1億回を超える。
24日、フィギュアなどが置かれた若者のデスク。(北京=新華社記者/呉寒氷)
改造にお金をかけるのは、関連する商品やサービスに情緒的価値があり、前向きになれると考えているからだ。気分が明るくなればストレス軽減につながる。米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーが発表した「2024年中国消費動向調査」によると、消費者の64%が心の健康のための消費を重視しており、若者はその傾向が一層強い。
「爆改造」によるストレス解消は自己調整力の表れであり、生活の質と心の健康を重視する姿勢も反映している。国家2級心理カウンセラーの于光瑞(う・こうずい)氏は、個人の好みに合わせて装飾したデスクの小さな空間が、ひとときの帰属感と安心感をもたらすとして、「目の届く範囲を好きなように変えることで、限られた条件の中で快適性を追求するようになり、仕事からも幸福感を得やすくなる」と分析した。(記者/楊珏)