【新華社北京7月25日】中国科学院物理研究所は23日、月探査機「嫦娥(じょうが)5号」が2020年に月から持ち帰った試料から、研究チームが水分子とアンモニウムを豊富に含む未知の鉱物結晶「ULM-1」を発見したと明らかにした。科学者が月の土壌で水分子を確認したのは初めてで、関連成果は科学誌ネイチャー・アストロノミー電子版に掲載された。
ULM-1の写真と成分組成。(北京=新華社配信)
月に水が存在するかは、月の進化の研究と資源開発にとって非常に重要な問題となる。「嫦娥5号」が着陸したのは月の表側「嵐の大洋」のクリープ(岩石層)北東部で、月表面で最も若い玄武岩の一つと考えられており、このことが関連研究に新たな機会をもたらした。
研究チームは、ULM-1の分子式が最大6分子の結晶水を含み、水分子の質量比が41%に達することを発見。結晶の赤外線スペクトルとラマンスペクトルのいずれからも水分子とアンモニウムに由来する特徴的な振動ピークがはっきりと観察できた。
月表面で含水鉱物が形成されるイメージを表した図。(北京=新華社配信)
論文の責任著者、同研究所の陳小竜(ちん・しょうりゅう)研究員は、ULM-1のような水和鉱物は揮発しやすい水氷と異なり、非常に安定していると説明。ULM-1の発見は月表面の広大な日照地域にも安定した水和塩が存在する可能性を示唆しているとし「将来の月資源の開発と利用に新たな可能性を提供する」と述べた。