【新華社ラサ7月15日】中国科学院青蔵高原研究所の湖沼・環境変化研究チームとドイツ、スイス、英国、米国などの科学者・掘削技術者からなる科学調査隊が12日、青蔵高原の大規模湖沼の掘削で高さ14・3メートルのボーリングタワーを使い、深度400メートル超のボーリングコアの採取に成功した。2020年に納木錯(ナムツォ湖)で記録した掘削深度153・44メートルを超えた。
2017年から続く第2次青蔵高原総合科学調査研究の今年を代表する科学調査活動の一つで、地上掘削調査の国際的枠組み、国際陸上科学掘削計画(ICDP)が実施するプロジェクトの中で標高が最も高い場所での調査となった。
泥土や砂石を含む湖沼でのボーリングコア採取は作業が複雑で細心の注意を要する。今回の調査は標高4700メートルを超える湖面で38日間実施し、湖底からの深さ402・2メートルの場所でコアを採取。総掘削深度は1300メートルを超え、千本以上の湖沼コアを採取した。
12日、ナムツォ湖での深度402・2メートルの湖沼コア採取成功を祝う科学研究チームと掘削チーム。(ラサ=新華社記者/晋美多吉)
湖沼コアは気候環境研究の鍵であり、今回採取されたコアはナムツォ湖地域の百万年分の環境・気候変化の情報を閉じ込めたタイムカプセルに相当する。
ナムツォ湖の面積は2千平方キロを超え、国内の湖で最大の貯水量を持つ。ナムツォ湖科学調査隊の責任者の一人、中国科学院青蔵高原研究所の王君波(おう・くんは)研究員は、ナムツォ湖は流れ出る河川のない無口湖だと説明。「流域全体で標高が最も低いことから岩石や土壌、植生、河流、人類活動などの情報が集積しており、科学研究で重要な意義を持つ」と語った。
今回採取された湖沼コアは、青蔵高原の地質史を記した長大な巻物に相当し、世界の湖沼科学研究の貴重な「自然アーカイブ」となる。
中国の掘削はこれまで、海外の研究プロジェクトに追従してきたが、ここ数年は国内の湖沼掘削技術と人的能力が向上し、海外と肩を並べ、または先行するようになった。
複数の国の研究者からなる今回の共同科学調査隊は、中国の水上掘削プラットフォームを使い、主要技術者も中国人で構成されている。採取した湖沼コアは中国科学院青蔵高原研究所が初期的なスキャンを行い、中国で永久保管される。