【新華社ダッカ7月11日】バングラデシュの首都ダッカから南西約40キロの場所に、地元の人びとから「夢の橋」と呼ばれる全長7・8キロのパドマ大橋がある。
バングラデシュのパドマ川に架かるパドマ大橋。(6月25日、ドローンから、ダッカ=新華社配信)
橋の下を流れるパドマ川は同国で最も流れが激しい河川の一つ。下流ではかつて、川幅が広く、流れが急で、洪水が頻発するなどの理由から橋が架けられず、川の北部にあるダッカと南岸にある20余りの区との行き来は渡し船に頼らざるを得なかった。橋を建設して川による分断を解消することが、両岸住民の長い間の夢となっていた。
パドマ大橋は2010年に現地政府が建設プロジェクトを始動。中国鉄道建設大手・中国中鉄傘下の中国中鉄大橋局集団が橋の主体建設工事を、中国インフラ大手・中国電力建設集団傘下の中国電建集団港航建設が河川の整備工事を受注し、それぞれ14年と15年に着工した。
バングラデシュのパドマ川に架かるパドマ大橋。(6月25日、ドローンから、ダッカ=新華社配信)
8年近い建設期間を経て、同大橋は22年6月25日に開通。ダッカと対岸の住民の往来が渡し船に依存していた長い時代が終わりを告げ、これまで数時間かかった川の横断がわずか約10分でできるようになった。開通日には市民1万人近くが橋の上を歩き、夢の実現を歓喜の声で祝った。
同国のハシナ首相は開通式のあいさつで、同大橋はダッカと南部の21地区を結ぶ重要な交通の要となり、毎年の国内総生産(GDP)成長率を1・23ポイント引き上げ、貧困率を0・84ポイント引き下げるとの見通しを示した。
パドマ大橋河川整備プロジェクトの施工船。(6月2日撮影、ダッカ=新華社配信)
統計によると、車両通行台数は開通から2年で累計1233万台を数え、1日平均約1万5千台が通行している。
中国企業が建設を請け負う同国最大の鉄道プロジェクト、パドマ大橋鉄道連絡線も最初の区間が昨年10月に開通した。パドマ大橋を通る同プロジェクトは、バラストレス軌道など中国の先進技術を採用。工事の最繁忙期には1万人余りの現地労働者を雇用したほか、2万人以上の技術労働者に研修を実施してきた。
6日、パドマ大橋鉄道連絡線の先行開通区間。(ダッカ=新華社配信)