キルギス・カラオイ村の水利プロジェクトで改修された用水路。(2023年4月24日撮影、ビシケク=新華社配信/欽吉斯)
【新華社北京6月13日】カザフスタンは肥沃な土地に恵まれているが、小麦の生産は病虫害と倒伏への耐性が弱いことから、単位収量がなかなか上がらない状況にある。中国西北農林科技大学の張正茂(ちょう・せいぼう)研究員は2017年、カザフスタンに中国・カザフスタン農業科学技術モデルパークを建設するため同国を訪れた。6年余りの努力と苦労を経て、同国で試験的に栽培されている中国品種の小麦は現地の品種より最大約60%の多収を実現している。
張氏がカザフスタンで小麦を栽培することは中国と中央アジア諸国間の農業分野での交流・協力の縮図である。
23年5月に陝西省西安市で第1回中国・中央アジアサミットが開かれて以降、同省の楊凌農業ハイテク産業モデル区は中国初の国家級農業ハイテク産業モデル区として、乾燥・半乾燥地域における現代農業分野の技術的優位性を生かし、上海協力機構(SCO)の農業技術交流・研修モデル基地と中国(陝西)自由貿易試験区楊凌モデル区、西北農林科技大学が中央アジア諸国に設立した産業モデルパーク8カ所をプラットフォームとして、中央アジア諸国との農業協力を積極的に展開している。
西北農林科技大学は17年以降、育種や病虫害防除、節水灌漑(かんがい)、獣医、アルカリ土壌の改良、食品加工など優位性ある学問分野をめぐり、カザフスタンやキルギス、ウズベキスタンなどの国に海外農業科学技術モデルパークを8カ所設立し、「科学技術が主導し、企業が主体となり、各方面が協調し、市場志向型」の海外農業科学技術モデルパークの建設モデルを追求してきた。
農業人材の共同育成については、中国と中央アジア諸国はすでにメカニズムを確立しており、楊凌農業ハイテク産業モデル区が第1回中国・中央アジアサミットの開催以来、SCOの農業技術交流・研修モデル基地としての役割を発揮し続けている。23年には各種の国際研修プロジェクトを16期にわたって実施し、中央アジア諸国を含む40以上の国から700人余りの農業人材が研修を受け、交流に参加した。オンラインで行った農業技術講座は10期に及び、1万人以上が受講した。
中国(陝西)自由貿易試験区楊凌モデル区管理委員会は23年に中国本土外からの一般的な種子導入をめぐり、優先措置を制定した。同委員会が企画、建設を担う国家(楊凌)作物種資源中継・隔離基地では1期工事の総合実験ビルがまもなく供用を開始する。このビルは建築面積が1万1600平方メートルに及び、すでにバイオテック企業や種苗企業で満室となっている。これからは貴重な種子資源を生かし、中国と中央アジア間の農業協力を一層推進するとみられる。管理委員会弁公室の蘇亜文(そ・あぶん)主任は、種苗企業とバイオテック企業の協力は育種革命につながる重要な道筋になるとの見通しを示した。