忻州古城風景区で披露された、溶かした鉄を空にまく伝統行事「打鉄花」。(1月27日撮影、忻州=新華社記者/王学濤)
【新華社太原5月31日】中国山西省忻州(きんしゅう)市にある忻州古城は、1800年以上前の後漢の時代に建設された歴史あるエリアで、現在は1万6千人余りが暮らしている。市が2017年から30億元(1元=約22円)余りを投じて風景区(観光地)としての整備を開始。19年の開業以降、4200万人以上の観光客を受け入れてきた。寂れた無名の地から人気観光スポットに変貌した5年間の歩みは、中国観光業の発展に生じた新たな変化を映し出している。
風景区の運営管理を手掛ける山西秀容古城袁家村策画運営管理の汪洋(おう・よう)総経理は「サービスが良く、特色や文化があり、ナイトライフも楽しめる」と魅力をアピールする。飛躍のポイントになったのは、入場料に依存した観光地経営に別れを告げ、国家級の観光・レジャーの町を目指したことだ。
風景区への入場料や駐車代は取らず、一部のショーも無料で見られるようにし、観光客の食事や宿泊、移動、観光、買い物、娯楽の消費を促した。古城内の店舗に対しては、実際の経営状況を踏まえ、テナント料や手数料の徴収、利益分配など各種の提携モデルを採用している。
さまざまな店や屋台が立ち並び、にぎわいを見せている古城。根強い人気を誇るのは「小吃(シャオチー・軽食)」で、1品に特化した小吃店がおよそ130店舗ある。石頭餅(シートウビン、小石の上で焼き、生地に石の跡がついた焼き菓子)や瓦酥(ワースー、瓦の形状をした揚げ菓子)など山西省名物の店が7~8割を占める。
店舗の業態は運営側が業態を厳格に管理する。「山西の特色があり、できるだけ重複せず、価格が安いこと」(汪氏)が条件になっているという。
忻州古城ではまた、特色ある文化プロジェクトを助成し、伝統技能を持つ人々の定着を支援することで、観光業に文化の魂を注ぎ込んでいる。
面塑(しん粉細工)が並んだ店では、地元出身の盧佩宏(ろ・はいこう)さんが創作に取り組んでいた。毎日朝早くから夜遅くまで店にこもって作業する。販売額はオンラインと合わせて年間20万元余りに達する。「風景区がよく支援してくれ、家賃は今も無料だ」と話す。
このほかにも烙画(焼き絵)や剪紙(せんし、切り絵細工)、花饃(ホワモー、装飾を施した中国風蒸しパン)、皮影戯(ピーインシー、影絵)などの無形文化遺産の店やスタジオが並ぶ。あめ細工やでんでん太鼓も売られ、訪れた人々の幼い頃の記憶をよみがえらせる。
祝祭日にはレスリングや獅子舞、戯曲などの多彩な文化活動を見ることもできる。これらのプログラムは地元政府が支援するもの、旅行会社が打ち出したもの、演芸会社との提携によるものなどさまざまな形で催されている。
同風景区には夜間も営業する書店や博物館が多く、ナイトエコノミーの多様な消費業態が形成されている。国家級夜間文化・観光消費集積地としても認定されている。
古城の大通りは日が暮れると、錦鯉をかたどったランタンに灯がともり、温かく明るい雰囲気に包まれる。街をそぞろ歩く人もいれば、文化グッズのショップに入る人、書店で静かに本を読む人もいる。清代につくられた学校、秀容書院はネットで話題を呼び、訪れる人が後を絶たない。どこにいても目立つのは漢服を着て自撮りをする観光客だ。
風景区は現在、体験型演劇「趙氏孤児」の上演に向けた交渉を進めている。夜間の新たな大型イベントとして期待がかかる。(記者/王学濤)
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忻州古城風景区にある小吃(シャオチー、軽食)店の前にできた行列。(2月13日撮影、忻州=新華社記者/王学濤)pagebreak
忻州古城風景区にある石頭餅(シートウビン、小石の上で焼き、生地に石の跡がついた焼き菓子)の店。(2月13日撮影、忻州=新華社記者/王学濤)pagebreak
忻州古城景区にあるあめ細工の屋台。(4月28日撮影、忻州=新華社記者/王学濤)pagebreak
夜の忻州古城風景区。(4月28日撮影、忻州=新華社記者/王学濤)