中国でティードリンクが大人気 「国風」やコラボで客層拡大

中国でティードリンクが大人気 「国風」やコラボで客層拡大

新華社 | 2024-05-23 10:26:02

   遼寧省瀋陽市の喫茶店が提供しているティードリンク。(資料写真、瀋陽=新華社記者/于也童)

   【新華社北京5月23日】中国北京のトレンド発信地として知られる三里屯「太古里西区」に15日、ティードリンクチェーン「喜茶(HEYTEA)」が宋代の喫茶文化をモチーフに打ち出したティーショップ「茶坊」の北京1号店がオープンした。店の前には長蛇の列ができ、宋代様式の漢服を身にまとった若いスタッフが行き交う人々に開店をアピールしていた。

   北京店では、銅鍋で茶を煮出して提供するサービスを全国で初めて取り入れた。店員の実演を目の前で見られることも店舗を訪れる魅力の一つで、客らは茶を入れる様子を興味深そうに眺め、カメラを向けていた。鍋は手打ちの品を使い、弱火でじっくり茶を煮出し、ゆっくりかき混ぜて香りを十分に引き出す。「誰かが手ずから煮出してくれたお茶を飲めるとは。やはり『国風(中国の伝統文化を取り入れたスタイル)』こそ最高級と実感した」。職場の昼休みに並んで評判の店を試しに来たミルクティー愛飲家という韓さんは満足げに語る。

   客にティードリンクを手渡す店員。(資料写真、北京=新華社配信)

   最近でもティードリンクチェーン「覇王茶姫(CHAGEE)」が新発売したドリンクのキャンペーンで話題になるなど、中国ではティードリンクの人気が急上昇している。現代人は伝統的な茶とトレンドを組み合わせ、茶を鍋で煮出したり、茶をベースにフルーツティーをつくるなど、新奇な楽しみ方を編み出している。若者らにとって、新式の茶館に行ってティードリンクを飲み、茶文化を理解することは、新しいライフスタイルであり、ファッションでもある。

   ティードリンクチェーン「茶顔悦色」が開いた茶館「小神閑茶館」で茶を入れる店員。(資料写真、長沙=新華社記者/張格)

   「国風」路線はティードリンクブランド各社のトレンドになっている。昨年5月には「茶顔悦色」が中国風の内装の「小神閑茶館」を開店した。ティードリンクを提供するほか、茶葉や茶道具も販売している。10月には「奈雪的茶」が広東省深圳市に最初の「奈雪茶院」をオープン。中国の古典的な庭の様式を取り入れた設計で、客は茶を飲むだけでなく、伝統的な茶芸を体験したり茶葉を購入することもできる。

   20日、「奈雪的茶」が発売した「美少女戦士セーラームーン」とコラボしたティードリンク。(北京=新華社記者/彭純)

   アニメや無形文化遺産のIP(知的財産権)を活用したコラボ商品の提供で若い消費者の取り込みを図り、人気や売り上げを伸ばしているティードリンクブランドも少なくない。「奈雪的茶」は日本の人気アニメ「美少女戦士セーラームーン」とコラボしたフレッシュフルーツティーセットを発売し、初日から爆発的なヒットとなった。「滬上阿姨(AUNTEA JENNY)」は無形文化遺産の花かんざし「簪花囲」とコラボしたミルクティーを売り出した。「奈雪的茶」と「楽楽茶(LELECHA)」は昨年末に「名探偵コナン」とのコラボドリンクをそれぞれ発売、マグネットステッカーなどのグッズがもらえるキャンペーンで多くのファンを引き付けた。

   中国の要素をちりばめたティーカクテル。(2023年3月9日撮影、黄山=新華社記者/屈彦)

   ティードリンク業界の市場規模は2025年に2千億元(1元=約22円)を超えると予測され、各社がしのぎを削るレッドオーシャンとなっている。中国工程院院士(アカデミー会員)で湖南師範大学学長の劉仲華(りゅう・ちゅうか)氏は、ティードリンクは消費のシーンと客層を広げているとし、今後も伝統的な文化や茶との有機的な融合を重視し、その旺盛な生命力を保つとともに、より多様な形で若い世代に茶の魅力を伝えていくことに期待を示した。

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