【新華社北京5月17日】中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は16日、ロシアのプーチン大統領と北京の人民大会堂で会談後に共同記者会見を行った。
習主席は次のように指摘した。プーチン大統領の今回の国賓としての中国訪問は、大統領の新たな任期に就いてから初めての外国訪問で、大統領本人とロシア側が中国との関係発展を非常に重視していることを十分に体現している。大統領の訪問を熱烈に歓迎する。大統領とは先ほど、率直かつ友好的で、内容豊かな会談を行い、国交樹立から75年の両国関係の発展の成功経験を全面的に総括し、2国間関係と双方が共に関心を持つ重要な国際・地域問題について深く意見交換し、次の段階の両国関係の発展と各分野の協力について計画し、手配した。われわれは国交樹立75周年に際した「新時代の全面的戦略協力パートナーシップ」の深化に関する共同声明に署名し、発表した。多くの政府間、部門間の重要協力文書の調印にも立ち会い、中ロ関係の健全な発展に新しい強力な原動力を注入した。
習主席は次のように強調した。今年は中ロ国交樹立75周年に当たる。4分の3世紀のプロセスの中、両国関係は風雨に耐え、時が経つほど堅固となった。特に新時代以降は、両国関係の位置付けが持続的に高まり、協力の内容が日増しに豊かとなり、代々友好の理念が人々の心に深く根付いた。中ロ関係は既に新型国際関係、隣接する大国同士の関係の手本となっている。中ロ関係がこうした顕著な成果を収めることができた理由は、双方が常に「五つの堅持」を続けてきたことにある。
一つ目は「相互尊重を根本として堅持し、常に核心的利益に関わる問題で互いに支持する」。私はプーチン大統領と次のような考えで一致した。中ロ両国が大国関係、隣国関係の発展の新たな道を歩むことができた鍵は互いに尊重し、対等に付き合い、常に互いの核心的利益と重大な関心事項に関わる問題で揺るぎなく支持し合ってきたことにある。これは「中ロ新時代の全面的戦略協力パートナーシップ」の核心的な重要意義でもある。双方は引き続き「同盟せず、対抗せず、第三国を対象にせず」の原則を堅持し、政治的相互信頼を絶えず深め、それぞれが選択した発展の道を尊重し、互いの揺るぎない支持の中でそれぞれの発展と振興を実現していく。
二つ目は「協力・ウィンウィンを原動力として堅持し、中ロ互恵の新たな枠組みを築く」。中ロの2国間貿易額は昨年、2400億ドル(1ドル=155円)を超え、10年前の2・7倍近くとなった。これは両国が全方位的な互恵協力を絶えず深めてきたことの一つの縮図である。私はプーチン大統領と次のような考えで一致した。両国の利益融合点を積極的に探り、それぞれが優位性を発揮し、利益の融合を深め、互いの成果を実現していく。協力の構造をさらに改善し、経済・貿易など従来からの協力分野の良好な勢いをしっかりと固め、基礎科学研究のプラットフォームネットワークの構築を支持し、先端分野協力の潜在力を持続的に引き出し、通関地・交通物流協力を強め、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの安定を維持していく。
三つ目は「代々の友好を基礎として堅持し、中ロの友情のトーチを共に受け継ぐ」。中ロ両国は悠久の歴史と輝かしい文化を持つ。プーシキンやトルストイの作品は中国で広く知られ、京劇や太極拳など中国の伝統文化もロシアの人々から愛されている。双方は現在、「2030年までの中ロ人的・文化協力ロードマップ」の実行を主軸とし、人的・文化分野の協力を絶えず拡大している。私はプーチン大統領と共に、今年と来年を「中ロ文化年」とし、双方が草の根的で、民心をつなげ、活気のある一連の文化交流イベントを開催し、両国の社会各界、各地方が交流を強化し、人々が知り合い、心を通わせ、親しくなるよう一層促すことを打ち出した。
四つ目は「戦略協力を支えとして堅持し、グローバルガバナンスの正しい方向をリードする」。双方は国連を核心とする国際体系と国際法に基づく国際秩序を揺るぎなく守り、国連やアジア太平洋経済協力会議(APEC)、20カ国・地域グループ(G20)など多国間プラットフォームで緊密に協調、連携し、真の多国間主義によって世界の多極化と経済のグローバル化を推進している。ロシアは今年、主要新興国(BRICS)の輪番議長国を担当し、中国は年内に上海協力機構(SCO)輪番議長国を引き継ぐ。双方は議長国としての取り組みを互いに支持し、より包括的、緊密的、実務的、包摂的な質の高いパートナーシップを築き、グローバルサウスの団結を図り、強大にしていく。
五つ目は「公平と正義を趣旨として堅持し、焦点となる問題の政治的解決に尽力する」。現在の世界は冷戦思考の亡霊がいまだ消えず、一方的な単独覇権や陣営対抗、強権政治が世界の平和と各国の安全を脅かしている。私はプーチン大統領と、パレスチナ・イスラエル衝突の解決が急務であり、国連決議を確実に履行し「2国家解決案」を基礎にパレスチナ問題を解決しなければならないという考えで一致した。双方は、ウクライナ危機を政治的に解決することが正しい方向との考えでも一致した。この問題における中国の立場は一貫して明確であり、国連憲章の趣旨と原則の順守、各国の主権と領土保全、安全保障面の合理的な懸念の尊重、均衡がとれ、効果的で、持続可能な新型安全保障の枠組みの構築が含まれる。中国は、欧州大陸が早期に平和と安定を回復するのを期待し、そのために引き続き建設的な役割を果たしていきたいと考える。
習主席は次のように指摘した。土が積み上がって山になり、水がたまって海になる。中ロの代々の友好と全方位的な協力は75年の確かな蓄積を経て、嵐を恐れずに絶えず前進する強大な原動力となった。新たな歴史的起点に立ち、中ロ双方は常に初心を守り、協力して責任を担い、両国人民により多くの幸福をもたらし、世界の安全と安定にしかるべき貢献をしていく。
プーチン氏は次のように表明した。習主席が昨年、再任後間もなくロシアを国賓として訪問し、私が今回の再任後の最初の訪問先を中国としたことは、両国関係の特殊性とレベルの高さ、双方が全面的戦略協力パートナーシップの一層の深化を非常に重視していることをあらためて示した。国交樹立から75年、両国関係は既に大国、隣国がパートナーシップを発展させる手本となった。両国の協力は内容が豊かとなり、多くの成果を収めた。私は習主席と緊密な意思疎通と良好な関係を維持しており、双方は両国関係の現状に満足し、将来の協力に向けた自信にあふれている。ロシアは中国を長期的に信頼できる協力パートナーとしており、中国と政治や経済、文化、教育、安全保障などの分野の協力を持続的に広げ、「ロ中文化年」をしっかりと開催し、人的・文化交流を深めたいと考えている。両国は国際舞台で緊密な協力を保ち、より民主的な多極化された世界秩序を樹立するため共に尽力している。BRICSやSCOなどの枠組み内の協力と重要な国際・地域問題での意思疎通を引き続き強化し、地域と世界の平和と発展を促進していきたい。