中国ショートドラマの海外進出、世界のエンタメ市場に融合

中国ショートドラマの海外進出、世界のエンタメ市場に融合

新華社 | 2024-04-29 14:39:50

広東省深圳市で開かれたショートドラマ産業海外進出サミット。(2023年10月26日撮影、深圳=新華社配信)

  【新華社天津4月29日】スマートフォンなどで気軽に視聴できる縦型ショートドラマが中国から世界に広がっている。

  1話が60~90秒で完結し、十数話からなる短編ドラマで、軽快なテンポと爽快なストーリーを売りとする。動画アプリ「TopShort(トップショート)」を運営する上海嘉書科技もショートドラマを配信する中国企業の一つで、今年2月には日本のアップル「App Store」での同アプリのランキングが米大手動画配信サービス「Netflix」(ネットフリックス)を上回ったこともあった。

香港理工大学で撮影を開始した「ShortMax」のショートドラマ。(1月8日撮影、香港=新華社配信)

  ショートドラマ業界の海外進出は、国内の内向き競争が進んだ結果、作品の質を高めるための俳優や衣装、小道具などのコストが高騰したことも要因とされ、九州文化が海外向けに手がける「ShortMax(旧ShortTV)」、中文在線集団の「Realshort」などが消費力の高い欧米市場に進出した。

  米調査会社センサータワーが発表した中国ショートドラマの海外進出に関するリポートによると、海外進出はこの1年近くで急速に進み、今年2月末までに進出を果たした40作品余りの累計ダウンロード数は5500万回近く、アプリ内購入の売上高は1億7千万ドル(1ドル=約158円)に上った。

  米国でショートドラマを視聴するヘイズさん(34)さんは「筋書きが分かっていても見たくなる」と語り「1話のストーリーは長くない。夜の手の空いた時間につい見てしまう」と明らかにした。

グーグルのアプリストア「グーグルプレイ」での「TopShort」の紹介画面。(資料写真、深圳=新華社配信)

  ShortMaxの責任者、劉金竜(りゅう・きんりゅう)氏は「低コストで人びとの精神文化を満たすのがショートドラマ。感情の共鳴は国や階層、社会的地位を超越する力を持つ」と指摘。高い能力を持つ主人公、意外な展開、刺激的なストーリーは世界の視聴者の細分化された娯楽ニーズを満たすことができると語った。

  業界関係者の多くは、海外で文化・娯楽製品の長期的発展を実現させる場合、単純に国内の成功体験を持ち込んでも通用しないとし、海外を目指す企業はコンテンツのローカライズ(現地化)が第一歩になるとの認識を示す。日本に進出した「TopShort」も昨年10月、東京にオフィスを立ち上げ、日本の制作者の信頼を高めている。

  北京にある中国伝媒大学戯劇影視学院の戴清(たい・せい)教授は、海外ショートドラマはクオリティーとローカライズへのニーズがはますます切迫しており、制作者は現地の文化や風習、生活習慣への理解を一層深める必要があるとの見方を示した。(記者/毛振華、張宇琪、尹思源)

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