近年配信された中国アニメ映画の秀作。(資料写真、北京=新華社配信)
【新華社北京3月26日】中国のアニメは近年、量・質共に大きく向上している。2023年には主要動画プラットフォーム上で国産の新作129本が配信された。今後も300本近くが公開される。アニメ映画は中国産作品の興行収入が過去5年間の最高記録を更新し、1千万元(1元=約21円)以上が14作品、1億元以上が4作品となり、累計で50億元を超えた。ネットアニメの規模も拡大しており、配信方法のアップグレード、視聴層の入れ替わりにより国内作品にさらに多くの可能性が生まれている。
アニメ映画「白蛇2:青蛇興起」の製作過程。(資料写真、北京=新華社配信)
中国のアニメ産業は、03年に国家広播電視(ラジオ・テレビ)総局に重点支援文化産業の指定を受けて以降、制作数が飛躍的に増加。総生産額は3千億元に近づき、ユーザー規模は4億人を超える。中国伝媒大学アニメーション・デジタルアート学院の王雷(おう・らい)院長は、ここ数年急速に発展する中国アニメが再び勃興期に入ったと指摘した。
業界関係者は、中国のアニメ産業が量から質の段階に入ったと考えている。高品質な作品を安定的に生み出すには、1人が全てを担当する方式をライン作業のフロー生産に転換し、作業内容を細分化して外注する「アニメの工業化」が鍵を握るとされる。
アニメ映画「熊出没・伴我『熊芯』」のロシア向けポスター。(資料写真、北京=新華社配信)
動画配信大手、嗶哩嗶哩(ビリビリ)初のオリジナルアニメ作品「時光代理人-LINK CLICK-」は、キャラクター原案を韓国のイラストレーターが作成、美術監督と音楽を日本人が担当し、多くの海外企業に参加を要請した。21年に第1期が配信されると、英語や日本語、韓国語、タイ語などに翻訳され、多くの国・地域で公開。漫画・アニメに特化した国際的なレビューサイト「MyAnimeList」で中国アニメとして最高の10点満点中8・88点を獲得した。
ロシア・ウラジオストクで開催された第1回中国アニメフェスティバル。(資料写真、北京=新華社配信)
中国アニメはすでに国境を越え、大陸をまたいだ協業により完成する芸術となった。広範で効率的な国際分業も新たな可能性をもたらしている。工業化の過程において、海外の観客により受け入れられやすい表現を採用し、中国の文化と情緒の中核を伝えている。ここ数年は制作者が伝統文化から巧みに題材を見いだすようになり、アニメのキャラクターが伝統の世界に活力を与えている。中でも映画「ナタ魔童降臨」「西遊記ヒーロー・イズ・バック」などは国内で興行的に成功しただけでなく、世界市場でも観客を魅了した。
世界のアニメ大国と比べ、中国のアニメ界は発展途上にある。今後は潜在能力の発掘を加速させ、イノベーションに立脚しつつ、IP(知的財産権)事業化を促し、良質な作品を創造し続けることが影響力と生命力の維持につながる。(記者/沈氷潔)