【新華社バンコク3月9日】タイ工業連盟(FTI)自動車部会のスラポン副部会長兼広報担当者はこのほど、新華社の単独インタビューに応じ、中国の自動車メーカーがここ数年、タイ市場への進出を加速し、より多くの人々が電気自動車(EV)を利用できるようにしただけではなく、タイの自動車産業の発展と構造転換を促し、投資と雇用をけん引し、国の経済発展を推進しているとの認識を示した。
中国の自動車メーカーが製品を同国に持ち込み、より多くのタイ人が手の届く価格でEVを買えるようにしたと指摘。これが中国の自動車メーカーやブランドがタイ市場で成功を収めた重要な理由だとの見方を示した。EVの使用・メンテナンスコストはガソリン車より低いが、これまでは価格が高く、一般消費者の受容性が限られていたとした。
FTIのデータによると、タイの2023年の乗用車販売台数は約40万7千台で、うち純電気自動車(BEV)は7万3千台を超え、前年の7倍に増えた。上海汽車集団や長城汽車、比亜迪(BYD)、広州汽車集団、重慶長安汽車、合衆新能源汽車などの中国メーカーはいずれもタイ市場でEVブランドを展開し、消費者から人気を集めている。タイ運輸省陸上運送局(DLT)のデータでは、23年に同国で発売されたEVの約80%以上が中国ブランドだった。
スラポン氏によると、中国勢の進出は同国の自動車産業、特にEV製造業の発展を後押しし、EV産業を支えるための充電ポールなどインフラ整備の重要性をさらに意識させた。
タイは長期にわたって自動車産業の発展に力を入れてきた。数多くの有名な自動車メーカーを誘致し、その製品を海外に輸出している。スラポン氏は、EVの人気が高まるにつれ、タイの自動車産業も構造を転換し、EVの生産拠点になる必要があるとの見方を示した。同国に投資する中国勢の多くが現地生産の実現を予定し、自社のサプライチェーンのパートナーも連れてくると指摘。それが同国に投資をもたらし、雇用を創出し、経済発展を後押しするとの見通しを示した。
中国勢の同国への進出は正しい選択だとし、「タイで生産されるEVが国内市場の需要を満たすだけではなく、他国に輸出できるようになることを望んでいる」と述べた。