山東省東営市にある塩類・アルカリ性土壌の水田。イネのミニコアコレクション使った耐塩性の同定が行われた。(2023年9月7日撮影、深圳=新華社配信)
【新華社深圳2月9日】中国農業科学院深圳農業ゲノム研究所(嶺南現代農業科学・技術広東省実験室深圳サブセンター)は7日、崖州湾国家実験室、山東省農業科学院湿地農業・生態研究所、中国水稲研究所などと共同で、塩ストレス下におけるイネのスーパーパンゲノム集団の遺伝子発現プロファイルをマッピングし、耐塩性の鍵となる優れた新遺伝子STG5を割り出すことに成功した。耐塩性イネの育種・改良にとって重要な意義を持つ研究成果は北京時間6日、科学誌「ナショナル・サイエンス・レビュー(NSR)」に掲載された。
山東省東営市にある塩類・アルカリ性土壌の水田。イネのミニコアコレクション使った耐塩性の同定が行われた。(2023年9月7日撮影、深圳=新華社配信)
責任者を務める深圳農業ゲノム研究所の商連光(しょう・れんこう)研究員によると、中国は約15億ムー(1億ヘクタール)の塩類・アルカリ性土壌を有し、うち約5億ムー(約3333万ヘクタール)が開発や利用の可能性を秘めている。この眠れる予備耕地資源をいかに呼び覚ますかが、中国の喫緊の課題の一つとなっている。
商氏によると、塩ストレスはイネの成長と発育の各段階にさまざまな程度の害を及ぼし、収量減をもたらす。耐塩性イネの選別・育種は、塩類・アルカリ性土壌の開発や利用において重要な措置となる。さまざまなイネ生殖質資源の耐塩性を詳細に同定し、耐塩性に優れた対立遺伝子と分子メカニズムを解析することで、耐塩性品種の栽培に向けた良好な理論的基礎と生殖質材料を得ることができる。
研究では、通常の状態と塩ストレス下でのイネスーパーパンゲノム集団の遺伝子発現プロファイルを構築し、幼苗期の耐塩性を系統的に分析。多くの耐塩性指標に基づく評価を行い、スーパーパンゲノムと組み合わせた全ゲノム関連解析(GWAS)により、耐塩性に関わる多くの新たな遺伝子座を割り出し、耐塩性に影響を及ぼす主働遺伝子STG5を同定した。また、耐塩性の高い品種「海稻86」のSTG5対立遺伝子を耐塩性の低い「日本晴」に導入し、日本晴の耐塩性が大幅に向上することを発見した。同遺伝子は主にナトリウムイオン(Na+)とカリウムイオン(K+)の定常状態でのバランス調節に関与しており、耐塩性生物の育種に大きく役立つ可能性がある。研究は耐塩性の高い対立遺伝子の抽出に豊富な資源を提供した。今後は耐塩性水稲の品種開発と栽培に遺伝資源と理論的裏付けを提供する。