【新華社フランクフルト1月31日】ドイツ連邦銀行(中央銀行)の専門家はこのほど、ドイツと中国は経済・貿易分野で緊密な関係を結んでおり、「デカップリング(切り離し)」を強行すれば、ドイツ経済、特に工業に耐えられないほどの深刻な影響を与えることになるとの見方を示した。
同行の複数の専門家が作成した文章によると、同国の多くの工業企業がここ数年、中国での生産を通じて大きな売り上げと利益を獲得するとともに、対中輸出がこれらのドイツ企業の重要な収益源となっている。このため、長い目で見れば、中国を離れることはドイツ企業に大きなビジネスコスト、経済的コストを支払わせることになり、ドイツ企業は中国という「主要販売市場」を失い、多くのサプライチェーンは効率を犠牲にして再編を行わざるを得なくなるとの見通しを示した。
文章はドイツの自動車や機械工学、電子、電気工学などの業界は中国市場の需要への依存度が高く、中国からの原材料と主要中間製品に直接的または間接的に依存するドイツ企業も少なくないと指摘。同行が企業に対して行った調査を引用し、ドイツでは製造企業のほぼ2社に1社が中国から重要な中間製品を直接的または間接的に入手しているとし、「これら(製品)の供給が中断すれば、ドイツは生産面で重大な損失を被るおそれがある」とした。
また、中国との「デカップリング」強行の余波は経済の不確実性を高め、ドイツ経済の他の業界にも影響を及ぼすと予測。金融業界を例に挙げ、ドイツと中国の実体経済は緊密につながっており、ドイツの銀行では中国経済とのつながりが緊密なドイツの業界・企業のエクスポージャーが比較的大きく、両国間の経済・貿易関係を破壊することはこうした企業が最終的に債務不履行に陥る可能性を高め、ドイツの金融システムにリスクをもたらすおそれがあるとした。
その上で、ドイツは中国との「デカップリング」に対応できず、中国との「デカップリング」はドイツ経済に耐え難い損失をもたらすとし、一方的な中国との「デカップリング」を回避するべきだとの認識を示した。