【新華社オスロ12月8日】ノルウェー・スバールバル諸島のニーオーレスンは北極に最も近い人類の居住地の一つであり、極めて高い緯度と豊かな地質生態から極地科学者にとっての「科学調査の聖地」となっている。中国初の北極科学調査基地「黄河基地」もこの町にある。
ノルウェー・ニーオーレスンの黄河基地で、機器を確認する中国極地研究センターの李斌副研究員。(11月12日撮影、ニーオーレスン=新華社記者/張玉亮)
ニーオーレスンで昼と夜が交代するのは年間で4カ月に過ぎず、10月下旬から2月下旬の120日余りは太陽が昇らない極夜が続く。この期間はオーロラ観測に最適な季節であり、今冬に黄河基地の越冬基地長を務める中国極地研究センターの李斌(り・ひん)副研究員が基地でのオーロラ観測研究の状況を紹介してくれた。
ノルウェー・ニーオーレスンの黄河基地。(11月10日撮影、ニーオーレスン=新華社記者/張玉亮)
ノルウェー・ニーオーレスンで出現したオーロラ。(11月10日撮影、ニーオーレスン=新華社記者/張玉亮)
オーロラは、磁場と大気のある惑星で起こるプラズマ現象の一種で、地球においては磁気圏や太陽風の高エネルギー負荷電粒子が地磁気によって大気圏に導かれて上層大気中の原子と衝突することで起こる発光現象として観測される。色は緑が一般的だが、赤や紫などもある。
李氏は「宇宙物理学でオーロラ観測は重要なデータをもたらす。地球磁気圏に対する理解を深めることもできる」と説明。人類は地球磁気圏の状態を理解することで地球と宇宙の環境法則をよりよく理解でき、衛星の打ち上げや航空宇宙通信などの分野においても重要な意味を持つと述べた。
ノルウェー・ニーオーレスンの黄河基地で、ホッキョクグマについて説明する中国極地研究センターの李斌副研究員。(11月12日撮影、ニーオーレスン=新華社記者/張玉亮)
オーロラを観測できる場所は世界に数多くあるが、黄河基地のあるニーオーレスンは北緯79度という抜群の好条件に恵まれている。
李氏は「極夜は正午でも暗い。黄河基地では昼側のオーロラを見ることができ、他の場所の夜側のオーロラとは違う」と指摘。「昼側のオーロラとは正午ごろのオーロラを指す。科学者は昼側のオーロラの観測を通じて地球から放出される粒子の状況を把握することができ、地球の大気が純流入の状態なのか、純流出の状態なのかを知ることができる」と説明した。
李氏によると、ノルウェー極地研究所などの機関もニーオーレスンでオーロラを研究しているが、黄河基地のオーロラ研究設備は最も充実している。李氏は、オーロラ研究の分野で国家間の関係は競争より協力の要素が大きいとし「自然現象の観測では誰もが『足し算』の思考であり、より多くのデータを取得したいと考えている。黄河基地も含めて皆は得られたデータを仲間と共有する。その方が科学研究にとって有益だからだ」と語った。
ノルウェー・ニーオーレスンの黄河基地の外で、オーロラを撮影する中国極地研究センターの李斌副研究員。(11月10日撮影、ニーオーレスン=新華社記者/張玉亮)
ノルウェー・ニーオーレスンの黄河基地の外で、設備を確認する中国極地研究センターの李斌副研究員。(11月12日撮影、ニーオーレスン=新華社記者/張玉亮)