【新華社香港12月4日】中国香港特別行政区のバス事業者、城巴(シティーバス)は11月30日、香港初の水素バスの試験運用が承認を受け開始したと発表した。早ければ来年1月に客を乗せての運行を始める。都市のグリーントランスフォーメーション(GX)に寄与する事業となる。香港初のバス向け水素ステーションも運用をスタートした。
香港初の水素ステーション。(11月30日撮影、香港=新華社記者/陸芸)
同日行われた水素バスと水素ステーションの運用開始式には李家超(ジョン・リー)行政長官も出席し、初の乗客の一人として2階建て水素バスに試乗した。あいさつでは、水素燃料車には走行距離が長く、充填時間が短いなどのメリットがあり、水素エネルギーは世界の低炭素化を促すエネルギーとして期待できると述べた。特区政府として今後、水素燃料技術の試験プロジェクトを推進し、本土と海外の水素エネルギーの発展経験を参考にした上で、水素燃料を長期的に使用するための安全運用の枠組みと法規を整備し、香港の水素エネルギー経済の発展を促進する考えも示した。
シティーバスの張堃(ちょう・こん)主席は、水素バスは本土のメーカーと共同で開発し、初の水素ステーションも本土から先端技術を導入したとし、香港と本土の優位性をうまく結びつけることでの潜在力が示されたと語った。
香港初の水素2階建てバス。(11月30日撮影、香港=新華社記者/陸芸)
今回運用が始まった1台目の水素バスの水素充填時間はわずか10分。メーカーと設計を進める量産型水素バスは、水素タンクの容量が倍になり、航続距離は最大400キロに伸びる。同社はさらに、二酸化炭素(CO2)排出ゼロのバスへの全面的な切り替えを2045年までに完了することを約束している。
香港は現在、新エネルギー交通産業の発展に取り組んでいる。李行政長官は最近発表した施政報告で、来年には「香港水素エネルギー発展戦略」を策定するとし、水素の製造や貯蔵・輸送、利用に関する法改正も進め、25年に草案を提出するとの計画を明らかにした。