前漢時代の彩絵人物車馬鏡。(8月25日撮影、北京=新華社記者/李賀)
【新華社西安11月24日】中国古代の化粧道具、銅鏡は重要な芸術的・科学的価値を持ち、中でも彩絵銅鏡は貴重とされる。1963年に陝西省西安市紅廟坡村で出土した前漢時代の彩絵人物車馬鏡は、2千年以上の時を経てもなお、鮮やかな色彩と比類ない精妙な美しさを保っており、古代中国の代表的な彩絵銅鏡の一つとして、国家文物局の「第3次海外持ち出し展示禁止文化財目録」に選ばれた。
現在、西安博物院に収蔵されているこの彩絵人物車馬鏡は、直径28センチの連弧文平縁三弦鈕円形銅鏡で、17人の人物が描かれており、人の間には樹木や草地、野生動物なども見られる。いずれの図案も彩色画のまま残っているのは特に貴重で、非常に珍しいものとなっている。これは、古代の絵師が酸化しにくい鉱物顔料を使用していたことが幸いとなった。
銅鏡の細工は緻密で、連弧文の内側と2本の広い弦文の側縁には非常に精緻な菱形文様が施され、菱形の間は朱色のM字型の折れ線で埋められている。絵画技法は熟練しており、人や車馬などが生き生きと表現されている。この銅鏡は実用品である以上に優れた芸術品であり、前漢時代の社会生活を研究するのに役立つ実物資料でもある。
西安博物院業務研究部(編集部)の王璐(おう・ろ)助理館員は「彩絵銅鏡の背面の塗料は剥がれやすく残りにくいため、過去に出土した彩絵銅鏡の多くは、出土時にはすでに図案がまだらで不鮮明になっており、剥がれてほとんど消えているものさえあった。この彩絵人物車馬鏡は、色彩の保存状態が良好で、図案もはっきりしており、これほどのものは全国でも数えるほどしかない。保存条件が高いため、特別展のみで、常設展には展示されない」と説明する。
考古学者らは、銅鏡が出土した場所や地層、銅鏡の材質や造形、装飾文様と図案、絵の題材、絵画技法などから、この銅鏡は前漢時代のものと判断している。専門家らは各地の関連考古学資料を参考に、所有者は前漢時代の権勢を誇った高官だったとみているが、具体的な人物はまだ特定されていない。
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前漢時代の彩絵人物車馬鏡の図案スケッチ。(資料写真、北京=新華社配信)
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彩絵人物車馬鏡の図案の一部「遠出」。(8月25日撮影、北京=新華社記者/李賀)
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彩絵人物車馬鏡の図案の一部「遠出」のスケッチ。(資料写真、北京=新華社配信)
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彩絵人物車馬鏡の図案の一部「謁見」。(8月25日撮影、北京=新華社記者/李賀)
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彩絵人物車馬鏡の図案の一部「謁見(えっけん)」のスケッチ。(資料写真、北京=新華社配信)
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彩絵人物車馬鏡の図案の一部「狩猟」。(8月25日撮影、北京=新華社記者/李賀)
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彩絵人物車馬鏡の図案の一部「狩猟」のスケッチ。(資料写真、北京=新華社配信)
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彩絵人物車馬鏡の図案の一部「宴会」。(8月25日撮影、北京=新華社記者/李賀)
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彩絵人物車馬鏡の図案の一部「宴会」のスケッチ。(資料写真、北京=新華社配信)
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前漢時代の彩絵人物車馬鏡の彩絵図案。(8月25日撮影、北京=新華社記者/王毓国)
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前漢時代の彩絵人物車馬鏡。(8月25日撮影、北京=新華社記者/王毓国)