科学研究とイノベーション、文献資料の保存に貢献

科学研究とイノベーション、文献資料の保存に貢献

新華社 | 2023-11-21 16:36:17

   15日、自動噴霧式脱酸素装置を操作する文化財修復師の鄧慧さん。(済南=新華社記者/蕭海川)

   【新華社済南11月21日】輝かしい文明の歴史を持つ中国には歳月の洗礼を受けた文献資料が数多く残るが、書籍や書簡、新聞・雑誌などの紙製品は酸化や脆化(ぜいか)、劣化の影響を受けている。多くの文献が残る山東省では、これら文明の痕跡をよりよく保護するための自動化装置が活躍している。

  同省済南市のオフィスビル、科創大廈では自動噴霧式脱酸装置が稼働していた。文化財修復師として3年間勤務する鄧慧(とう・けい)さんは、装置のパネルを操作しながら「装置の片側から文献を送り込むと自動的に感知され、脱酸液を均一に噴霧し、反対側へ送り出す」と説明した。

  装置は、市内にある斉魯工業大学(山東省科学院)電子・電気・制御学部の先進紙脱酸・保護技術科学研究チームが開発した。2019年に発足したチームで、主に紙脱酸装置と材料、紙修復装置のスマート化と自動化、紙分析検査機器・装置の開発を手掛けている。

  鄧さんによると、酸は紙の保存に大きな影響を及ぼす。紙の製造工程で使われる添加剤や自然界に存在する酸性物質、人の手の皮膚から分泌される乳酸などが紙のペーハー(PH)バランスに影響し、酸化が進むと繊維が脆くなる。

  チームの中心メンバーの侯萌(こう・ぼう)さんは「研究成果は自動脱酸装置だけではない」と指摘。輸入品を代替する脱酸溶液を開発したほか、脱酸プロセスシステム一式を開発。大型浸漬式脱酸装置を中核として静的常圧反応などの技術進展を図り、大量脱酸を実現したと説明した。

  大学発の研究チームは2020年、文献保護を専門とする会社を設立。材料やプロセス、設備を含む非水分散型脱酸ソリューションにより公文書や書籍、古書、書画、新聞・雑誌、宗教経典などの脱酸を広く手掛け、これまでに脱酸した文献は約70万枚に上る。(記者/蕭海川)pagebreak

   15日、傷んだ古書を修復する文化財修復師の鄧慧さん。(済南=新華社記者/蕭海川)pagebreak

   15日、傷んだ古書を修復する文化財修復師。(済南=新華社記者/蕭海川)pagebreak

   15日、古書の材質を分析する文化財保存会社の職員。(済南=新華社記者/蕭海川)pagebreak

   15日、傷んだ古書をパルプ溶液に浸して補修する文化財修復師の鄧慧さん。(済南=新華社記者/蕭海川)

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