山東省泰安市夏張鎮にある山東省イチゴ種苗育種科学技術推進普及モデル基地で、山東省農業科学院イチゴ研究革新チームのメンバー武衝博士とともに、栽培施設内の雨よけ可能な条件下でのイチゴ炭疽病の発生状況を確認する山東省農業科学院の特任研究員の田中一久教授(右)。(資料写真、済南=新華社配信)
【新華社済南11月17日】中国山東省済南市にある山東省農業科学院果樹研究所の実験室でこのほど、新品種のイチゴの苗が小さな白い花を咲かせた。このイチゴは、これに付随する環境に優しく効率的な最新栽培技術とともに、同科学院が海外から呼び込んだ高度人材がもたらした。
この新品種の栽培に深く関わってきた同科学院イチゴ研究革新チームのメンバー武衝(ぶ・ちゅう)博士によると、現在主流となっているイチゴは果肉が柔らかく、貯蔵・輸送時に傷みやすいという問題点を抱えているが、新品種はこうした問題を大幅に改善した。従来の品種に比べ、保存期間が3~5日延び、アントシアニン含有量が約10%増加、果樹農家の総合所得が1ムー(約670平方メートル)当たり1500元(1元=約21円)から2千元ほど増える見込みだという。
山東省農業科学院の特任研究員の田中一久教授が策定した「イチゴ栽培施設の雨よけ・病虫害防除に関する環境配慮型技術計画」に基づき、山東省泰安市夏張鎮にある山東省イチゴ種苗育種科学技術推進普及モデル基地で病虫害の調査を行う山東省農業科学院イチゴ研究革新チームのメンバー。(資料写真、済南=新華社配信)
中国は現在、農業科学技術分野で世界各国との協力・交流を積極的に拡大している。済南市でこのほど開かれた山東国際農業科学技術協力交流大会には、中国や米国、日本、オランダ、ポーランド、オーストラリア、インドネシア、エジプトなどの国・地域から100人以上の専門家が出席した。
会議はオンラインと会場を組み合わせた形式で行われ、「種子産業の革新・協力の強化、農業の質の高い発展の促進」について話し合われた。
9日、山東国際農業科学技術協力交流大会で基調報告を行う中国工程院の許為鋼(きょ・いこう)院士(アカデミー会員)。(済南=新華社記者/叢佳鑫)
中国農業農村部国際交流サービスセンターの徐明(じょ・めい)副主任によると、中国政府は2009年の中国-国連食糧農業機関(FAO)南南協力信託基金発足以来、これまでに総額1億3千万ドル(1ドル=約150円)をFAOに拠出してきた。技術支援を通じて発展途上国の食糧安全保障と持続可能な農業開発を促進することが狙いで、100万人以上の小規模農家に恩恵をもたらした。また、二国間および多国間ルートを通じて、2千人余りの農業専門家や技術者を70以上の国・地域に派遣してきたという。
9日、山東省農業科学院が展示したトウモロコシの種子。(済南=新華社記者/叢佳鑫)
同大会の会期中、出席した専門家らは「こうした活動は、農業科学技術分野での国際的な協力・交流を広げ、深め、互いの優位性を提供し合い、相互利益を実現する上で大いに意義がある」と評価した。
山東省農業科学院はこれまでに10以上の国際機関、60余りの国・地域の研究機関や高等教育機関と良好な技術協力関係を確立し、31の国際共同ラボや研究開発センターを設置した。(記者/葉婧、叢佳鑫)