【新華社ワシントン11月17日】国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のトーマス・ヘルブリング副局長はこのほど、新華社のビデオインタビューに応じ、世界経済はリスクと課題に直面しているものの、中国を含むアジア太平洋地域は依然として経済の最も活発な地域であり、引き続き世界経済の成長に大きく寄与するとの見解を示した。
ヘルブリング氏は、アジア太平洋地域の今年の世界経済成長に対する寄与度が3分の2を超え、この割合は今後も維持されると予想。他の地域に比べて、インフレ抑制の効果が際立っていると評価し、2024年はアジア太平洋地域の多くの国のインフレ率が、各国中央銀行の目標圏内に低下する見込みを示した。
また、中国政府が実施しているマクロ経済政策は適切で、今年に入って以降、積極的な財政政策を行い、経済の持続的な回復・好転を支えていると指摘。穏健な金融政策を実施し、カウンターシクリカル(逆周期)調整なども行い、経済全体の債務負担を軽減していると述べた。
ヘルブリング氏はアジア太平洋地域には開放型の国・地域が多く、貿易上の結びつきが強いため、地政学的な分断は明らかにマイナスの影響を及ぼしているとも指摘。世界の地経学的分断は産業チェーンの効率を低下させ、世界経済の大きなリスクになるとした。その上で、世界貿易機関(WTO)などの多国間機関への信頼回復と維持を呼びかけた。
さらに、IMFは将来の課題に対応する余地と手段を持てるため、政策決定者がマクロ経済政策を実施、経済の安定を維持、インフレを抑制、財政バッファーを増やすことを奨励しているとした。構造改革については、成長を制限、阻害するさまざまなものを取り除き、投資を促進するよう呼びかけた。
IMFは10月に発表した「世界経済見通し」で、世界経済の成長率が2022年の3・5%から23年は3・0%、24年は2・9%に鈍化するとの予想を示した。同月発表したアジア太平洋地域経済見通しで、23年の同地域の経済成長率を4・6%と見込む。