中韓の科学者、太陽電池の効率問題を克服

中韓の科学者、太陽電池の効率問題を克服

新華社 | 2023-11-15 20:12:48

   研究作業中の潘旭(右)、田興友両研究員。(資料写真、合肥=新華社配信/姚潔)

  【新華社合肥11月15日】太陽電池は技術の進歩に伴い人々の生活へ浸透しつつあるが、科学者にとっては変換効率と電池の安定性の両立が解決すべき重要な課題となっている。中国科学院合肥物質科学研究院(安徽省合肥市)はこのほど、同研究院の固体物理研究所、中国科学院光伏・節能材料重点実験室に所属する潘旭(はん・きょく)、田興友(でん・こうゆう)両研究員のチームが、韓国の成均館(ソンギュングァン)大学の朴南圭(パク・ナムギュ)教授、北京の華北電力大学の戴松元(たい・しょうげん)教授と協力し、ペロブスカイト太陽電池の効率面での難題を克服し、電池の安定性をさらに向上させたと明らかにした。

  ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト構造を持つ有機金属ハロゲン化物半導体を吸光材料とした太陽電池を指す。長年の研究で表面の不活性化(パッシベーション)や結晶成長制御などの方法による電池の効率は大きく向上したものの、ここ数年は効率向上のペースが鈍化し、研究のボトルネックとなっていた。潘氏によると、ペロブスカイト薄膜内で生じる不可避な相分離が電池の安定性に影響を及ぼし、効率を低下させる要因の一つになっていたという。

  研究チームは一連の実験を通じ、異なる陽イオン間の結晶化や相転移の速度差がペロブスカイト薄膜表面外の陽イオン組成を不均一にしていたことを発見。1−(フェニルスルホニル)ピロール分子(PSP分子)を用いて速度差を補正し、陽イオン組成が均一なペロブスカイト薄膜を作製した。

  物理学では電子やイオンなど自由に移動できる荷電粒子をキャリアと呼び、陽イオン組成が均一なペロブスカイト薄膜はキャリアの寿命や拡散長を大幅に向上させる。研究チームが作製したペロブスカイト太陽電池は電池セルの変換効率を業界上位の26・1%まで高めたほか、電池寿命も5~8年に安定させた。

  今回の研究は太陽電池セルの生産プロセスに広く応用することができ、電池の効率と安定性をさらに高めることも可能なため、将来的に廉価でクリーンな新型エネルギーが開発される可能性がある。研究成果はこのほど、国際的学術誌ネイチャー電子版で発表された。(記者/陳諾)

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