1日、パッケージングされたACCELのサンプル。(北京=新華社記者/魏夢佳)
【新華社北京11月9日】中国の清華大学(北京市)の研究チームはこのほど、長年の共同研究を経て、電子コンピューティングと光コンピューティングを組み合わせたアナログチップ(ACCEL)を世界に先駆け開発した。
チームは今回の開発により、従来のメモリーチップの物理的なボトルネックを解決し、光と電子が深く融合する新しいコンピューティングの枠組みを提案。インテリジェントビジョンのタスク処理の計算能力は現在の高性能商用チップの3千倍以上に達し、超高性能チップの研究開発に新たな道を開いた。研究成果は科学誌「サイエンス」に掲載された。
同大電子工程学部の方璐(ほう・ろ)副教授は新華社の取材に対し「完全なアナログ信号の下で光と電気の優位性を発揮させることでアナログ-デジタル変換の問題を回避し、消費電力と時間のボトルネックを解消した」と説明。計算力以外にもACCELのシステムレベルのエネルギー効率(単位エネルギーあたり実行可能な演算数)はインテリジェントビジョンタスクや自動運転などの無人システムの計算において既存の高性能チップの400万倍と測定されたとし「消費電力の低さはチップの発熱問題を改善する。将来のチップ設計に画期的な進展をもたらすと期待される」と語った。
ACCELの光学部品は加工時の最小線幅が百ナノ(ナノは10億分の1)メートルレベルとなる。方氏は「実験結果では百ナノメートルレベルのプロセス精度を使用するだけで、先端プロセスを採用したチップより大幅に高い性能をえられることが分った」と説明した。
同大学情報科学技術学院の戴瓊海(たい・けいかい)院長は、ACCELが今後、無人システムや工業用試験、人工知能の大型モデルなどで幅広く応用されるようになると指摘する一方、研究チームはプロトタイプチップを開発したに過ぎず、引き続き汎用的な人口智能(AI)チップの開発に努め、実際に広く応用できる工業用サンプルを早期に作り出す必要があると語った。(記者/魏夢佳)