中国の物理学者、凝縮系物理学の世界最高栄誉を受賞

中国の物理学者、凝縮系物理学の世界最高栄誉を受賞

新華社 | 2023-10-26 10:59:39

17日、清華大学の実験室で装置を操作する薛其坤氏。(北京=新華社配信)

   【新華社北京10月26日】米国物理学会は中国時間24日、中国の物理学者、薛其坤(せつ・きこん)氏が2024オリバー・E・バックリー凝縮系賞を受賞したと公式サイトで発表した。薛氏は中国科学院院士(アカデミー会員)で、清華大学教授と南方科技大学校長を兼ねる。中国籍物理学者の受賞は1953年の賞創設以来初めて。

   同賞は凝縮系物理学分野で世界最高の栄誉とされ、同分野で卓越した功績を収めた科学者を表彰する。清華大は同日午後、薛氏の受賞について、トポロジカル絶縁体の研究とトポロジカル絶縁体内における量子異常ホール効果の発見という画期的成果が評価されたと説明した。

17日、清華大学で研究チームの学生を指導する薛其坤氏(右から2人目)。(北京=新華社配信)

   量子異常ホール効果は、凝縮系物理学における重要な量子効果とされる。量子異常ホール効果の発現と実験観測は極めて困難とされ、各国の研究者が目標としていた。薛氏は2009年以降、清華大物理学部や中国科学院物理研究所、米スタンフォード大の複数の研究グループと合同チームを作り、トポロジカル絶縁体研究の側面から量子異常ホール効果の発現という難題に取り組んできた。

   2012年末に実験観測に成功。2013年3月に論文が科学誌サイエンスに掲載されると、専門家から「凝縮系物理学界の一里塚となる業績」と評価された。

17日、清華大学で勤務する薛其坤氏。(北京=新華社配信)

   薛氏は「科学研究には不確実性があり、絶対的な失敗はない」と指摘する。量子異常ホール効果の実験であっても「あらゆる知恵と能力、条件を駆使した挑戦で成功すれば研究の正しさが証明されるが、失敗しても他の研究者の教訓になる」とし、他の研究者が失敗の道を避けてくれれば、失敗も一つの成功になると語った。

   今回の受賞については「研究の成功は、改革開放以来の国の科学技術力の向上と基礎研究の長期にわたる蓄積のおかげだ。今回の栄誉はチームの研究者全員、中国のすべての科学者のもの」と表明。中国で世界の発展をリードする科学発見と成果がますます多く出現することに期待を示した。(記者/魏夢佳)

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