【新華社マニラ9月21日】アジア開発銀行(ADB)は20日に発表した「アジア経済見通し2023年」の補足版で、アジア太平洋地域の発展途上国を引き続き有望視するとした上で、これらの国の23年の経済成長率を4・7%、うち中国を4・9%と予測した。
ADBは、世界経済は多重的な課題に直面しているものの、各国の需要の回復や観光業の立ち直り、金融の安定などが今年上半期(1~6月)のアジア太平洋地域経済の持続的成長をけん引したと指摘。アジア太平洋地域の発展途上国の24年の経済成長率については4・8%と予測した。
域内各地域の23年の成長率予測については、南アジアを5・4%、東アジアを4・4%、東南アジアを4・6%、中央アジア・コーカサスを4・6%、太平洋島しょ国を3・5%とした。
ADBチーフエコノミストのアルバート・パーク氏は、アジア太平洋地域の経済は着実な成長を維持しており、インフレ圧力は弱まっていると指摘したが、世界の主要経済国における高金利の継続は金融の安定に影響を及ぼし、地政学的対立、輸出規制や極端な天候などの要因が食品の価格を押し上げ、食糧安全保障を脅かすと警戒感も示した。
アジア太平洋地域のインフレは新型コロナウイルス流行前の水準に戻るとの見方も示し、発展途上国の23年のインフレ率見通しを3・6%、24年を3・5%とした。
ADBはアジア・太平洋地域の発展に焦点を当てた国際開発金融機関で、1966年に創設。フィリピンの首都マニラに本部を構える。「アジア経済見通し」はアジア・太平洋地域の経済成長見通しをまとめたADBの旗艦報告書で、毎年発表されている。