中国の研究者、2次元浮遊ゲートトランジスタメモリーで大きな進展

中国の研究者、2次元浮遊ゲートトランジスタメモリーで大きな進展

新華社 | 2023-09-21 10:45:02

   【新華社武漢9月21日】中国湖北省武漢市の華中科技大学は18日、同大材料成形・金型技術全国重点実験室の翟天佑(たく・てんゆう)教授のチームが2次元高性能浮遊ゲートトランジスタメモリーの研究で大きな進展を遂げ、辺接触特性を持つ新型の2次元浮遊ゲートトランジスタデバイスを開発したと発表した。市販のフラッシュメモリーに比べて書き込み・消去速度やサイクル寿命などを大幅に向上させ、高性能、高密度の大容量メモリーの開発に新たな視点をもたらした。

   翟氏によると、浮遊ゲートトランジスタは電荷蓄積型メモリーの一種で、現在の大容量ソリッドステートメモリーの中核部品となっている。一方で、現在市販されているフラッシュメモリー内のシリコンベースの浮遊ゲートメモリーの書き込み・消去速度は10マイクロ秒~1ミリ秒で、コンピューターのCPU(中央演算処理装置)のナノ秒級データ処理速度に比べはるかに遅く、サイクル寿命も約10万回と頻繁なデータのやり取りが難しかった。

   2次元材料は原子級の厚さで表面ダングリングボンド(原子の未結合手)もなく、部品の集積時に狭チャネル効果や界面のフェルミレベルピンニングなどの問題を効果的に避けられるため、高密度集積・高性能フラッシュメモリーを実現する理想的な材料とされているが、これまでの研究では、データの書き込み・消去速度が非常に遅く、高速度と高サイクル寿命を両立するデバイスはほとんど見られなかった。

   研究チームはこの課題に対し、辺接触特性を持つ新型の2次元浮遊ゲートトランジスタデバイスを開発。金属と半導体の接触領域にある二硫化モリブデンを従来の半導体相(2H)から金属相(1T)に相転移させ、デバイス内の金属・半導体接触タイプを従来の3D/2Dによる面接触から原子レベルの鋭利な界面を持つ2D/2D型辺接触へと移行させることで、書き込み・消去速度10~100ナノ秒、サイクル寿命300万回以上の高性能メモリーデバイスを実現した。

辺接触式2次元浮遊ゲートメモリーの特徴と動作性能を示す図。(資料写真、武漢=新華社配信)

   今回の研究は中国国家自然科学基金、科技部重点研究開発計画からの支援を得ており、研究成果は国際学術誌ネイチャー・コミュニケーションズの電子版で発表された。(記者/侯文坤)

本ウェブサイトに関するご意見、ご提案等が

ありましたら xinhuanetjp@126.com までご

連絡ください。