ドイツ・ベルリンにある上海蔚来汽車(NIO)のバッテリー交換ステーション。(資料写真、ベルリン=新華社配信)
【新華社合肥9月19日】中国の新エネルギー車(NEV)メーカーは海外に進出して発展を追求し、ドイツの自動車メーカーは中国で新エネ車産業への布石に重点を置いた。新エネ車の時代は中国と世界の双方向の発展が産業の進歩と繁栄を促すとともに、中国とドイツの自動車メーカーのグローバル化への取り組みも映し出している。
中国の新興電気自動車(EV)メーカー、上海蔚来汽車(NIO)の董事長で最高経営責任者(CEO)の李斌(り・ひん)氏は「NIOは中国の新エネ車メーカーとしてグローバルな発展と競争に加わり、NIOの優れた製品とサービスを世界中の顧客に届けたいと考えている。グローバル化は中国の自動車メーカーにとってチャンスであり、試練でもある」と述べた。
同社は現在、ドイツやノルウェーなど欧州の国・地域にサービスセンターを49カ所構える。中国EV大手の比亜迪(BYD)は新エネ車の販売先を世界の70以上の国・地域に拡大した。中国自動車工業協会のデータによると、2023年1~7月の中国の新エネ車輸出台数は前年同期比2・5倍の63万6千台に上り、中国新エネ車業界では海外進出が活発となっている。
李氏は、中国の新エネ車ブランドはすでに一定程度の先発優位性を築いていると指摘。製品や技術の競争力と顧客体験の面で、中国のハイエンドスマートEVブランドは独自の競争力を確立しているとの見解を示した。
欧州では今、新エネ車の10台に1台が中国製である。中国の新エネ車輸出市場は発展途上国を中心とする局地的市場から、欧州やアジア、アフリカが並び立つ多元的構造を持つ市場に変わりつつあり、中国の新エネ車メーカーのグローバル化に向けた取り組みも鮮明になりつつある。
これと同時に、ドイツの自動車メーカーも中国で新エネ車産業への投資を一段と強めている。ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)と安徽江淮汽車集団の合弁企業、大衆汽車(安徽)のアーウィン・ガバルディ最高経営責任者(CEO)は「当社の新エネ車プロジェクトは総額231億元(1元=約20円)の投資を計画しており、研究開発や生産、販売、アフターサービスを網羅する強固で充実した新エネ車バリューチェーン構築に用いる」と明かした。
VWはこのほど、中国新興EVメーカーの小鵬汽車と協力協定を締結したことも発表した。約7億ドル(1ドル=約148円)を出資して小鵬汽車の株式4・99%を取得し、中国でのインテリジェントコネクテッドビークル(ICV)の研究開発能力を高めるとしている。
VWのこうした一連の投資活動は、老舗自動車メーカーである同社にとって中国市場で足場を固め、中国事業を強化することが、新エネ車時代におけるグローバル化戦略となっていることを表す。
業界専門家は、中国の自動車メーカーが海外市場に進出し、より大きな市場で認められることを期待する一方で、ドイツの自動車メーカーは中国で足場を固め、今後の競争の中でも持続的に発展するための原動力を得ることを期待していると指摘。こうした双方向の動きが根底にあることが、中国の新エネ車産業における優位性だとの見方を示した。
李氏は「多くの多国籍企業が中国に進出するのは、単に中国の市場やサプライチェーンに目をつけたのではなく、中国の研究開発能力を評価したためだ」と強調した。スマートEV産業は、「スマート、電動、自動車」の三つの主要産業と、市場規模、サプライチェーン基盤、人材・技術、産業政策という四つの要素で支えられているとし、中国には三つの産業がそろい、どの産業も前出の4要素と有利な支援を備えているとの認識を示した。
中国の新エネ産業の優位性は中国の自動車メーカーに発展の好機をもたらし、世界進出の土台を築くとともに、多国籍企業による中国での研究開発拠点、生産拠点の設立にもつながっている。