浙江省杭州市の杭州eスポーツセンターで行われた、「韻味杭州」eスポーツ全国招待大会の「王者栄耀」(アジア大会専用バージョン)決勝戦の様子。(5月21日撮影、杭州=新華社記者/黄宗治)
【新華社杭州9月13日】中国浙江省杭州市で23日に開幕する第19回アジア競技大会(杭州アジア大会)では、eスポーツが最も注目を集める競技の一つとなっている。チケット販売計画によると、決勝戦はチケットの最高額が千元(1元=約20円)と大会で最も高額なチケットの一つで、唯一抽選制が採用された競技であり、人気ぶりが見て取れる。
eスポーツ競技は24日から10月2日まで杭州eスポーツセンターで行われ、七つの金メダルを争う。実施種目は「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」や「王者栄耀(オナー・オブ・キングス、アジア大会専用バージョン)」「和平精英(ゲーム・フォー・ピース、アジア大会専用バージョン)」「DOTA2」「夢三国2」「ストリートファイター5」「FIFA Online 4」の7タイトルとなっている。
中国代表は「ストリートファイター5」を除く6タイトルに出場する予定で、業界関係者によると「王者栄耀」や「和平精英」「夢三国2」などで金メダルが期待できるという。エキシビション競技だった2018年のジャカルタアジア大会とは異なり、今大会ではeスポーツ競技での獲得金メダルもメダルランキングに反映される。
杭州アジア大会のeスポーツ競技は、大会組織委員会とアジアeスポーツ連盟(AESF)が協議の上、試合のルールや会場の段取りなど技術的な問題を決定した。また、準備の過程で各ゲームの著作権者がアジアオリンピック評議会(OCA)やAESF、杭州アジア大会組織委員会などと綿密なコミュニケーションを取り、アジア大会におけるeスポーツ競技に適用される全体的な共通レギュレーションを確立した。
中でも、今後の大型総合競技イベントでeスポーツを採用する際に参考になるのが、「王者栄耀」や「和平精英」でそれぞれアジア大会専用バージョンをリリースしたことだろう。商業的な設定や拡張的なプレー方法を排除することで、戦いをより公平でシンプルなものにした。
eスポーツ業界の専門家である中国のゲーム会社、完美世界(パーフェクトワールド)の蕭泓(しょう・おう)最高経営責任者(CEO)は、「アジア大会で正式競技に採用されたことは画期的であり、eスポーツのさらなるスポーツ化だけでなく大衆化、規範化を推進することになる」との見方を示した。
アジアの中で、eスポーツのスポーツ化、大衆化はすでにトレンドとなっている。今年7月にタイのバンコクで開かれたOCA総会では、eスポーツを26年の第20回アジア競技大会(愛知・名古屋アジア大会)の正式競技に採用することが明らかになった。AESFも24年にeスポーツアジアカップを開催すると発表。今年10月にチリで開幕するパンアメリカン競技大会でも、同じ時期にパンアメリカンeスポーツ選手権を実施する予定となった。
eスポーツは将来、五輪の正式競技に採用されることはあるのか。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は20年に行われた記者会見で、「将来的に五輪への採用を検討する日が来るかと聞かれれば、答えはイエスだ。問題はそれがいつやって来るかということだ」と語った。
今年に入って、IOCはeスポーツを受け入れるシグナルを相次ぎ発している。IOCが主催した初の「eスポーツ」の名を冠した競技大会「オリンピックeスポーツウイーク」は6月、シンガポールで開催された。9月にはIOCのeスポーツ競技委員会設立も明らかになり、世界のスポーツ関係者の間で多くの臆測を呼んだ。
これまで、競技を新たに採用する際には厳しい基準や手続きが求められてきたが、IOCは「若い波」に対しては開放的な姿勢を続けている。スケートボード、ブレイキン(ブレイクダンス)、サーフィンなどが五輪に採用されたことを考えると、eスポーツの五輪競技化も本当に時間の問題なのかもしれない。pagebreak
杭州アジア大会eスポーツ競技の「リーグ・オブ・レジェンド」の中国強化合宿チーム。(資料写真、杭州=新華社配信)