ブラジル・サルバドルで行われた工場設立発表式。比亜迪(BYD)は7月4日、ブラジル北東部バイーア州のカマサリ市に3工場からなる大型生産拠点を建設すると発表した。(7月4日、サルバドル=新華社記者/王天聡)
【新華社北京9月12日】中国の新エネルギー車(NEV)メーカーが海外進出を加速し、直接輸出や工場の新設を通じて世界市場シェアの拡大を図っている。業界関係者は、中国メーカーは技術など多くの面で優位に立っており、海外進出の強化は産業の高度化を促すとともに、進出先の技術進歩や世界新エネ車市場の発展にもプラスに働くと指摘する。
東風汽車集団は今年第3四半期(7~9月)、傘下の新エネ車ブランド「嵐図(VOYAH)」をフィンランドなどの北欧市場に上陸させ、第4四半期(10~12月)に納車を開始すると発表。同社の担当者は「今後はブランドづくり、完成車販売、サプライチェーンを一体化した、世界市場に向けた自動車産業チェーンを構築し、国際化された発展モデルで転換・高度化を進めていく」と語る。
直接輸出を拡大するだけでなく、海外に産業チェーンを立ち上げ、新エネ車産業の発展を図るメーカーもある。宇通客車は中東、中南米、東南アジア、欧州など10余りの国・地域で新エネバスの大規模販売を実現。輸出台数は累計3700台を超え、欧州では2022年の純電気バス販売のトップに輝いた。同社によると、すでに多くの国でバス部品の現地組立と生産能力、技術提携を実現している。
比亜迪(BYD)はブラジル・バイーア州政府と、同州カマサリ市に三つの工場からなる大型生産施設を立ち上げることで合意した。3工場はそれぞれ電動バス・トラックの車台、新エネ乗用車の完成車、リン酸鉄系リチウムイオン電池材料の生産を手掛ける。同社の担当者は「海外市場では現地の優れた協力パートナーや代理業者と緊密に連携すると同時に、タイやブラジルでは自社工場の新設を予定している。現地市場の開拓を強化するチャンスになる」と指摘する。
新興メーカーの哪吒汽車(Neta)は、インドネシアの協力パートナー、ハンダル・インドネシア・モーターと協力覚書に調印、24年第2四半期(4~6月)から自動車の現地生産を開始する計画で合意した。
中央財経大学国際経済・貿易学院の張暁濤(ちょう・ぎょうとう)院長は、中国新エネ車メーカーの海外市場への進出は、市場の開拓に有利に働くほか、工場の新設などの直接投資で現地の産業・経済の発展にも寄与するとの見解を示した。