23日、吐峪溝石窟を見学するシンポジウム参加者ら。(トルファン=新華社記者/趙晨捷)
【新華社ウルムチ8月29日】中国新疆ウイグル自治区トルファン市で23日までの3日間、第6回トルファン学国際学術シンポジウムが開かれた。「新時代のトルファン学の伝承と発展」をテーマに国内外の専門家、学者100人余りがトルファン学の新たな成果を議論し、西旁景教寺院遺跡と吐峪溝石窟を見学した。
トルファン学は20世紀にトルファンで見つかった大量の文献や文化財に対する学術研究を指す。
西旁景教寺院遺跡は同市高昌区北部の丘陵地にあり、漢文の仏教経典や道教経典、シリア語、回鶻(かいこつ)文などの景教(ネストリウス派キリスト教)文献が出土。中国では珍しい初期景教の遺跡で、歴史は唐代にさかのぼる。
英ケンブリッジ大のエリック・ハント博士は景教遺跡出土のシリア語手稿の研究について紹介。宗教的、経済的発展における遺跡の機能について説明し「遺跡は独特で、手稿も多く出土している。トルファン文化の豊かさは中国さらには世界の貴重な財産だ」と述べた。
シンポジウム主催者の一つ、トルファン文博院(トルファン博物館)の鄧永紅(とう・えいこう)副院長(副館長)によると、トルファン学はトルファンの豊かな文化遺産に対する学際的研究であり、100年近くにわたり世界各国の古文書学、考古学、歴史学、言語学、古生物学などの専門家、学者が研究に携わり、国際学術界で大きな注目を集めている。
同市鄯善(ピチャン)県にある吐峪溝石窟の年代は5世紀にまでさかのぼる。各時代に断続的に造営された石窟寺院、寺院の遺跡群で、中国社会科学院考古研究所の夏立棟(か・りっとう)副研究員によると、同研究所がトルファン学研究院と共同で今年実施した新たな発掘調査では仏像や仏教写経、毛筆、すずり、織物などが出土した。夏氏は、吐峪溝石窟は各種類型が揃い、寺院の配置と洞窟の組み合わせも豊富で、造像は河西や亀茲(きじ)、于闐(うてん)などの石窟の技法と特徴を吸収していると紹介。「吐峪溝石窟寺院は多元的な文明、多元的な文化がトルファンの石窟寺院で交流し、融合したことを示している」と述べた。
日本の早稲田大学の山部能宜教授は、瞑想と観想を研究テーマとしている。吐峪溝石窟寺院の見学では仏教経典の「観仏三昧海経」と吐峪溝壁画の観想的内容を比較し、両者が一致する部分を観察した。山部氏は「シンポジウムに参加でき良かった。壁画を間近で観察し、多くの中国人研究者から新たな発掘状況を学べたことは非常に重要だった」と語った。(記者/趙晨捷、周曄、張玉棟)pagebreak
21日、トルファン博物館を見学するシンポジウム参加者ら。(トルファン=新華社記者/趙晨捷)pagebreak
21日、トルファン博物館でミュージアムショップを見学するシンポジウム参加者ら。(トルファン=新華社記者/趙晨捷)