【新華社東京8月26日】日本の東北地方の太平洋沿岸で24日、東京電力は福島第1原子力発電所の放射能汚染水の海洋放出を開始した。福島の原発から発生する放射能汚染水は、今後数十年にわたり海に放出され続ける。日本による汚染水海洋放出の強行によって既に発生し、またこれから生じる結果は、どれほど強調してもし過ぎることはない。
22日、東京の首相官邸前で緊急集会を開き、民意を無視して放射能汚染水の海洋放出を決めた政府に抗議する人たち。(東京=新華社記者/馮武勇)
この行為が海洋環境に与える長期的な影響は予測しがたい。
福島第1原発に貯蔵されている放射能汚染水はこれまでに134万トンにもなり、東電の今年度の放出「目標」は3万1200トンだが、今後放出量が大幅に増加するのは間違いない。一方で、炉心溶融(メルトダウン)した原子炉の炉心の冷却に使われた水や、原子炉建屋内に流入する地下水や雨水により、毎日大量の高濃度の放射能汚染水が発生し続けている。日本のメディアは専門家の評価を援用して、今後長期間にわたって放射能汚染水が絶えず発生し続け、海洋放出されると予測している。放射能汚染水の「処理」に使用されるシステムの寿命や信頼性はともかく、長い年月をかけて放出され続けるトリチウムなどの核種の総量だけでもとてつもない規模であり、環境や生物に対する長期的な影響を正確に評価する方法もない。不確実性こそが最大のリスクの一つと言える。
この行為は国際社会における「法の支配」への深刻な挑戦となる。
日本は日頃から国際社会における「法の支配」を旗印にし、特に「海における法の支配」をしきりと口にするが、海洋放出の強行は明らかに「海洋法に関する国際連合条約」や廃棄物などの投棄による海洋汚染の防止を目的とするロンドン条約の関連規定に違反している。2020年、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の特別報告者が提出した報告書は、福島の放射能汚染水の海洋放出は生計や健康に影響を与え、人権に関わる問題だと指摘したが、日本はこれに耳を貸さなかった。日本は国際社会における「法の支配」の尊厳を無視し、国際社会における道義的責任と国際法上の義務に違反しており、これは国際社会における「法の支配」へのあからさまな挑戦となる。
23日、福島県新地町の漁港で網を干す漁師。(福島=新華社記者/張笑宇)
この行為は、海で生計を立てている人々の暮らしに深刻な影響を与える。
日本政府は、放射能汚染水の海洋放出により直接・間接的に影響を受ける福島の漁業者など国内の人々への補償として、数百億円の基金を用意するという。しかし、影響を受けるのは日本国民だけにとどまらず、それをはるかに超えて、太平洋沿岸の隣国や太平洋島しょ国など、多くの国の人々にも損失をもたらす。半世紀以上前、米国は太平洋のマーシャル諸島で数十回の核実験を実施したが、その深刻な影響は今も続いており、島しょ国の多くの人々がやむなく故郷を離れた。日本の放射能汚染水の海洋放出は、海で生計を立てている人々に打撃を与えるのは必至だ。
この行為は「科学」の名をかたって国際機関の権威を傷つけた。
福島の放射能汚染水の処理は科学の問題であるとともに、態度の問題でもある。しかし、日本は国際原子力機関(IAEA)を意図的に放射能汚染水の海洋放出のための足掛かりに仕立て、海洋放出に反対する科学界や環境保護界の声を抑圧し、フィルターにかけ、IAEAの評価報告書を利用して反対意見に圧力をかけた。その態度は横暴で、「科学」の精神を汚すものであり、また本来は公平に直言すべき国際機関の信望を損なった。
IAEAのグロッシ事務局長から包括報告書を受け取る岸田文雄首相。(7月4日撮影、東京=新華社記者/張笑宇)
この行為はまた、米国と西側およびそのメディアの「二重基準」を見事に暴き出した。
米国や西側諸国、そしてほとんどのメディアは、日本の放射能汚染水の放出強行を批判せず疑義を呈さないばかりか、黙認し好きにさせ、支持を表明さえしている。これは、これらの国々が日本から地理的に遠く離れ、切実な利害が少ないことも関係しているのは確かだが、より重要なのは、おそらく根深い「ダブルスタンダード(二重基準)」に起因していることだ。日本で、もし西側陣営に属さない国が放射能汚染水を放出した場合、日本はどう反応するだろうか。米国と西側諸国はどう反応するだろうかと思慮深い質問を提起した有識者がいるが、答えは自明で、「基準」が変わるに違いない。日本は同盟国で西側陣営に属するため、米国と西側諸国は日本の海洋放出には見て見ぬふりをし、事実上日本の放射能汚染水放出の「共犯者」になっている。
しかし、日本政府がどれほど苦心を重ねて放射能汚染水の海洋放出を正当化しようと、この悪行はいずれ歴史にしっかりと記録されることになるだろう。